日本の投資家にとってはバリューやグロースほどなじみのないクォリティ株。
資産運用の世界最大手ブラックロックのトニー・デスピリト氏が、サイクルの現局面におけるクォリティ銘柄について解説している。
「私の経験では、ほとんどの投資家は、クォリティ銘柄を目の前にすれば、それがクォリティであると理解できる。
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幅広い市場を目の前にしてクォリティを見出すのははるかに難しい。」
デスピリト氏が自社のブログで書いている。
クォリティ銘柄には、そう明確な定義があるわけでない。
みんなが何となくイメージしているのは、バランスシートが健全で、安定的成長により堅実な利益成長を遂げている銘柄といったところだろうか。
何となく質の高い銘柄というイメージだ。
デスピリト氏は、クォリティ銘柄の条件をいくつか挙げている。
- 資本コストを超える利益を上げてきた実績。
レバレッジによらない収益力が必要であり、ROICが重要。 - 健全なバランスシート。
- 高い競争力。
さらにこれらを支える持続可能な競争優位が備わっているかを検討すべきという。
では、苦労してクォリティ銘柄を探し出すとどんなメリットがあるのか。
経済・景気サイクルが年を重ねるに連れ、ポートフォリオの耐性強化の手段としてクォリティへの集中がますまず全体として重要になっていく。
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バランスシートやフリーキャッシュフローの強さなどクォリティの性格を示す企業はそうした(ボラティリティ上昇の)混乱も乗り切ることができることを、私たちは見出した。
デスピリト氏は、クォリティ銘柄の欠点も紹介している。
経済が景気後退から脱する場合などに見られる急騰相場においては、クォリティはアンダーパフォームする傾向があるのだという。
こうしたタイミングでは、レバレッジの高い低クォリティ銘柄がオーバーパフォームする傾向だ。
つまり、クォリティはサイクルの局面ごとに強弱がある。
現在をサイクル終期と見るなら、今から底に至るあたりまでクォリティがいいことになる。
「サイクル全体を通したネットではクォリティがよりよい投資となると信じている。
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クォリティ株への集中によって、投資家は潜在的な上昇による恩恵を得るべく市場に留まることができ、同時に下落の緩衝のための用心を行うことができる。」
デスピリト氏は、クォリティ銘柄の多いセクターとしてヘルスケアとテクノロジーを挙げた。
テクノロジー・セクターは比較的景気サイクルに依存するとしながら、財務内容でクォリティに該当する銘柄があるのだという。