投資

ハワード・マークス ギャンブラーの極意:ハワード・マークス
2020年1月16日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、ギャンブルで勝つための要因分析を示し、それを投資に敷衍している。


結果からその決断の質を知ることはできない。

マークス氏が13日付の「メモ」で、ギャンブルや投資における意思決定について書いている。

「メモ」公表後にインタビューも受けており、ここではインタビューで触れられなかった部分について紹介しよう。

投資の世界には、結果から決断の質を良く見せようという誇大広告がよく見られる。
《過去3年で50%上昇した投資信託》とか、《わずか3年で1百万円を3憶円に増やした投資家》などといった具合だ。
星の数ほどある投資信託や投資家の中からその時点で良い数字のものを選んで見せたところで、それが本能に優れているのか、今後も続くのかはわからない。
特に、驚異的なリターンを誇るものはその多くがビギナーズ・ラックか偽りであって、長期間にわたって持続するものではなく、ましてや他の投資家がまねて同じ結果を出せるものではなかろう。

マークス氏が冒頭の一文で言ったのもまさにそうしたことだ。
同氏は、ある決断が成功するかどうかは2つのことから大きな影響を受けるという。

「(a) 得られていないかもしれない重要な情報
(b) 幸運またはランダムさ
これら2つの要因によって、良く考え抜かれた決断も失敗し、貧しい決断も成功しうる。
これは直観に反することだが、最良の意思決定者とは必ずしも最も成功した人ではなく、むしろ最良の手順・判断を行う人だ。
両者は全く異なるものであり、特に少数回の試行から、その人がどちらかを見分けるのは不可能だ。」

徹底的な現実主義者であるマークス氏は、優れた決断が必ず成功を約束するものではないと話している。
だから、貧しい決断をしても結果オーライになることはある。
もちろんだからといって、それを狙うべきという話にはならない。
能力を磨き、決断の質を高めるべきなのは明らかだ。

決断の質を改善することは、良い結果を保証するものでなく、良い結果を得る確率を高めることだ。

マークス氏はポーカーを例に良い意思決定を下すために前提となる考え方を説明する。
ポーカーでは、隠れた情報(自分以外の札)、幸運(どの札が誰に配られるか)、能力(どの札を切りいくら賭けるか)が要求される。
このうち、前者2つは投資の世界でいえば不確実性といったものだ。

「良いポーカー・プレーヤーと良い意思決定者の共通点は、世界が不確実で予見不可能な場所であることを受け入れている点だ。
何が起こるか正確に知ることはほぼないことを彼らは知っている。
確かなことを知ろうとするのでなく、どう不確実なのかを理解し、異なる結果が起こる確率について最善の推測をしようとする。」

わからないものはわからない。
その現実に抗うのではなく、受け入れ適切に対処すべきなのだ。
そこで重要なのは、自分がどういうゲームを戦っているか理解し、割り切ることであろう。
マークス氏は自身のギャンブル遍歴の2つの特徴を紹介している。

まず、私は楽しんだゲームについて真剣に勉強しなかった。
もしも真剣にやりたいなら、オフィスに行ってやればいいからだ。

これはマークス氏の最初の選択を表明したものだろう。
自分は投機に力を注ぐつもりはなく、投資なら職場でやればよい。
本業は投資であって、投機は遊びにすぎないといいたいのだろう。
いや、マークス氏にとってギャンブルには遊び以外の利用法もあったようだ。

2つ目に、私は掛け金を小さくして楽しんだ。
大勝ちを夢見たり、大金を賭けるスリルが好きだったりする人もいる。
私は、賭ける金額とともに楽しさが増えると感じたことはない。
楽しみのために参加している。
大金を稼ぐためではなく、自分の意思決定を試すためにやっている。

「賭ける金額とともに楽しさが増えると感じたことはない」とは、すごい精神力、自制心だ。
ゲームを楽しみながらも、心の底でそれが儲かるものでないことを忘れないでいるのだろう。
投機は小さく楽しむものとでも言いたげだ。


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