投資

米ドル キャリー・トレードの積み上がりと10連休の為替相場
2019年3月21日

FRBが市場の混乱に震え上がりブレーキを踏み始めるとともに、いわゆるキャリー・トレードが復活している。
低金利通貨で調達し高金利通貨の資産に投資する同トレードは《リスク・オンの円安》を生み出す主因だ。


キャリートレードは、低金利通貨で資金を調達し、新興国市場などの高利回り資産に投資する手法。
成果を発揮するためには、潤沢な流動性や世界経済の落ち着いた状況のほか、何よりも通貨のボラティリティがほぼゼロになっていることが必要だ。
そして足元では、ほぼこれらの条件が備わっている。

キャリー・トレードにおあつらえ向きな環境が整っている現状をReutersが伝えている。
同トレードの対象資産は新興国市場だけではない。
日本円のように極めて金利の低い通貨を調達通貨とする場合、利回り2.6%の米10年債であっても魅力的に映る。
この金利差を求めてリスク・テイクするか否かの判断は(調達・運用の利回りが固定またはそれに近い場合)為替の変動いかんによることになる。
為替レートのボラティリティが小さいなら、為替リスクを取って同トレードをやってみようということになる。

実際、為替レートが狭いレンジに収まっている今、さらにこれがしばらく続くと見るなら、キャリー・トレードのチャンスだ。
調達金利となる低金利通貨は円、ユーロ、スイス・フランなどが一般的だが、今はユーロが好まれていると記事は伝えている。
これ以上の金利低下(これはしばしば通貨安要因となる)の余地のない円より、少しでも余地のあるユーロの方がうまみがあるということだろうか。
記事ではまた「キャリートレードはしばらく続く」とのアナリストの声を伝えている。

少なくとも金利水準が低く、経済データがある程度強いが、中銀に方針の再検討を迫るほどでない状況が終わらない限り。

こうした書き方から明らかなように、市場の関心はすでに将来に向いている。
《山高ければ谷深し》にはならないか、という不安だ。

記事では、ある運用担当者のコメントを紹介している。

年初来の高利回り通貨の力強い反発を踏まえると、ボラティリティの復活のみならず相場水準自体にもリスクがあると警戒し、これからのキャリートレードは望ましい戦略とは言えない

日本人にとって不気味なのは、4月27日から始まる10連休だろう。
国際金融のハブを目指す東京市場は、あろうことか10日間の銀行休業日を迎える。
為替市場自体は実体のあるものではないからこの10日間も機能するだろう。
しかし、資金決済機能が休業に入った場合、為替市場の深みが失われるといった不測の事態が否定しきれない。

シカゴ投機筋ポジション(IMMポジション)では、依然として円ショートが積みあがっている。
機関投資家は10連休をどういったポジションで迎えるだろう。
実需でない投機的な部分については中立に戻して、ゆっくり休暇を楽しもうとするかもしれない。
それを見越して勝負をしかける個人やヘッジ・ファンドがいるかもしれない。
為替相場が動く、あるいはそう予想されるなら、キャリー・トレードも動くだろうことを頭に入れておくべきだ。


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