ガンドラック:量的緩和と財政規律

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新債券王ことDoubleline CapitalのJeffrey Gundlach氏が、米金融・財政政策に嘆いている。
信用創造の力を握る中央銀行が国家を蝕むとの主張だ。


米国家債務がQEに助長されついに20兆ドルに達した。
今は『債務上限』を撤廃しようと話している。
1913年にFRBが創設された時に恐れられていたとおりのことだ。

ガンドラック氏が昨日ツイートした。
これと似た論調が最近増えている。
さて、ガンドラック氏は何に怒っているのだろうか。

FRBが設立されたのは1907年の恐慌への反省からだ。
この恐慌の原因は、活況を呈する米経済に対し米国内では十分な信用を供給できなかった点にあった。
米国はロンドンからの金輸入で乗り切ろうとしたが、米国の介入を嫌うBOEが金融引き締めを行ったのだ。
これが金融収縮を引き起こし、恐慌に至ることになる。

FRBは米金融制度の改革のために1913年の連邦準備法で整備された。
この制度は、そもそもが米金融システムの信用供給力を改善することが目的だった。
これは諸刃の剣であった。
一歩間違えば、野放図な金融政策によって経済を不安定化しかねない。
当初、意思決定は理事とともに財務長官、通貨監督官に委ねられたが、その後FRBは善意から独立性を強めていく。


独立性の高いFRBに箍を締めていたのは法と伝統であった。
幾度かFRBは非伝統的な政策をとることがあったが、その度に政策の妥当性が担保されない状況に見舞われた。
今もその非伝統的政策が継続している。
FRBが実施してきたQEは、意図は別として事実上のマネタイゼーションだ。
そして、そのマネタイゼーションが金利を空前の低水準にとどめる手助けをし、政府の財政規律を緩ませている。

金融緩和や財政政策に積極的な人たちには2種類ある。
善良で心優しいケインジアンと利権に群がろうとする賊である。
ポール・クルーグマン教授やローレンス・サマーズ氏などが前者の急先鋒だろう。
一方、タカ派には、市場の機能を生かすべきとの市場関係者が多い。
ガンドラック氏のほかにもジム・ロジャーズ氏、マーク・ファーバー氏などなど。

ロジャーズ氏などは、かなり前からさかんにFRBを廃止しろと言ってきた。
それと少し違うトーンで、中央銀行の独立性をはく奪すべきとの論調が聞こえ始めた。
以前は、ポピュリストから中央銀行を守るために独立性が重要との認識だった。
逆に、ポピュリストは中央銀行を操りたくて独立性を揺るがそうとした。
しかし今では、自らポピュリストになり下がった中央銀行に独立性を与えるべきでないとの論調が高まりつつある。

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