ガンドラック:まやかしの減税案

新債券王ことDoubleline CapitalのJeffrey Gundlach氏が、米下院の減税案をまやかしと批判した。
また、投資適格社債について金利リスクが大きすぎると敬遠している。

「提案されているこの減税案の中身を見てがっかりした。
ヘッジ・ファンドのキャリード・インタレストのスキームが温存されるとわかって、いやな気持になった。
この法案を見て、障害を取り払い流れをよくしようという話に期待するのをやめた。
障害はむしろ増えている。」


米下院が法人税率の大幅引き下げ等を盛り込んだ税制改革法案を可決する前日、ガンドラック氏が同法案への失望を語ったとBloombergが報じた。

キャリード・インタレストとは一部ファンドで発生する運用者の取り分のことだ。
プライベート・エクイティ、ベンチャー・ファンド、ヘッジ・ファンド、ディストレス・ファンド等の一部では、ファンドがリターンを上げそれが一定のパーセンテージ以上になると運用者に(通常の信託・運用報酬などに加えて)利益配分がなされる。
世間相場では、超過したリターンの20%程度が運用者に配分されると言われる。
Bloombergによるとこのキャリード・インタレストに対する税率が(所得税の最高税率が39.6%なのに対し)20%程度に抑えられている(キャピタル・ゲイン課税が適用されている)という。
キャリード・インタレストは運用者がうまくやったことへのボーナスなのだが、報酬としてではなく投資収益として課税されているのだ。


ホワイトハウス案では、この優遇税率適用への制限を厳しくしようとしていたが、下院ではそれがとれてしまった。
ガンドラック氏は、現行ルールが自身に有利な税制でも適切でないと考えており、こうして異を唱えているのである。
ガンドラック氏の下院法案への評価は厳しい。
「時間とともに消えていく中間層のための見せかけの減税」にすぎないと酷評している。

ガンドラック氏の見方が正しいとして、そのことに米国民が気づけば、政治への不信は増すだろう。
議会共和党が庶民の見方でないとわかれば、選挙民の期待は大統領に向かうのか、民主党に向かうのか。
経済にあっては、消費が伸び悩み企業・個人の不満が増すだろう。
いずれにせよ、ますます米政治環境が流動化しかねない。

昨日もガンドラック氏は、いつものようにツイッターで大手メディアに噛みついている。
WSJやNYTを非難する合間に、市場について気になるツイートをしている。

投資適格社債に史上最大の月間流入額が記録された。
金利が上がり『投資家』がそれに気づく時の大惨事のために備えよう。
こうした債券は金利リスクにさらされている。

株式市場の高値観が否定できないから、投資家は投資適格債に逃げている。
しかし、そこも安全な隠れ家とは言えないようだ。


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