政治

オリンピックは自爆作戦:三木谷浩史氏

楽天グループの三木谷浩史氏が、緊急事態宣言の中でカウントダウンが進む東京オリンピックについて「自爆作戦」と批判している。


率直にいってわからない。

三木谷氏がCNNのインタビューで、なぜ菅政権は世論の反対にもかかわらずオリンピック開催を強行しようとしているのか尋ねられて答えた。

読売新聞による7-9日の世論調査(全国)では、東京オリンピック・パラリンピックについて

  • 中止: 59%
  • 観客数を減らして開催: 16%
  • 無観客で開催: 23%

との回答だった。
どうひいき目に見ても、支持されているとは言い難い結果だ。

世間では、IOCへの違約金とか経済効果とか、まことしやかな解説が並ぶが、実際のところ強行する理由は釈然としない。
また、政治も主催者も説明を尽くそうとする意志があるのか首を捻るところもある。
開催したいという事情も理解できるし、開催に反対する理由もある。
問題は、その間を埋めるような議論が透明・十分でないから、世論の反対が拭えない。

三木谷氏は、非常にわかりやすく反対の側の理由を述べる。

私はこれまでこの事柄に対して一貫して言ってきた。
ワクチン接種がこれほど遅れている事実を考えると、世界中から人を集める大きな国際的イベントを開催するのは危険だ。
リスクが大きすぎ、今年東京オリンピックを開催するのは反対だ。

三木谷氏の主張は周到だ。
ここで重要なのは結論の他に3点あろう。

1つ目はワクチン接種が遅れている点。
変異種の問題は当初から予想されていたことだが、ワクチン接種がこれほど遅れると考えていた人は少ないだろう。
つまり、これは当初の想定にない状況になったことを意味する。
この想定の変更は、オリンピック開催をやめる理由になりうるものだろう。

2つ目は「世界中から人を集める大きな国際的イベント」というくだり。
これが、一地域の人たちの地域イベントでない点だ。
この違いは催行にともなう感染リスクを大きく高めうる。

3つ目は「今年」と言っている点。
たとえば、来年ならば話は違ってくるのだろう。
(もちろん、そうすれば多くの新たな課題も起こるのだろう。)

三木谷氏は、ここまで来てのオリンピック中止はありうるのか尋ねられて答えた。

「私は可能でないことなどないと考えていえる。」

三木谷氏は、諸外国も今年の東京オリンピック開催を支持してないはずという。
オリンピック開幕はあと2か月あまりに迫っているが、三木谷氏はまだ挫けていないようだ。

本当のところ、私はこれを自爆作戦(suicide mission)と呼んでいる。
日本はこれを止めなければいけない。
これまで試みてきたが、今のところ成功していない。

リアルな世界を事業領域とする人たちは、パンデミックが収束し、オリンピックが開催できるような環境に戻るのを願っているのだろう。
至極当たり前のことだ。
一方、穿った見方をすれば、オリンピック開催で仮にパンデミックが悪化すれば、バーチャルな世界を事業領域とする企業群は恩恵を受けうる。
やらしい話だが、ほとんどの人にとって、目先だけ見ればオリンピック開催は好ましいのかもしれない。
それでも、多くの人が開催に反対しているという事実はやはり重いのではないか。
現政権はソフトランディングするタイミングを何度か逃してしまったように見える。


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