エラリアン:2018年の金融政策予想

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独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏が来年2018年の世界の4大中央銀行の金融政策を占っている。
日銀については金融政策正常化に着手すると予想しているが、その実現には政治の側の努力が必要だという。

「世界経済の同時拡大が続けば、金融システムにとって重要な中央銀行は2018年、金融政策正常化への着手・継続の意を強くするだろう。」


エラリアン氏がBloombergへの寄稿で、2018年の日米欧の中央銀行のスタンスを予想している。
4つの中央銀行について、政策実施の容易さの順に説明をしている。
その順序とはFRB、日銀、ECB、BOEである。
エラリアン氏は、世界最強の中央銀行FRBがよい状況にあることを喜ぶ。
また、最も悪い状況に見舞われているのが、4つの中で金融システムへの影響が最小のBOEであることも幸運だという。

では、2番目によい状況に恵まれたとされる日銀の2018年はどう予想されているのだろう。

日銀は刺激策のアクセルから足を浮かせるよう大きなプレッシャーを受けるだろう。
資産買入れプログラムの縮小を真剣に検討するだけでなく、来年の日銀は(現在ゼロ%の)10年金利ターゲットを上方修正する可能性が高い。
日銀は非伝統的買入れの縮小とともに(長期金利ターゲット引き上げを)慎重に進める必要がある。


おそらく少なからぬ外国人は日銀について、来年の金融政策正常化を予想しているのだ。
日銀の場合、それはテーパリングのみの話ではない。
テーパリングと長期金利ターゲット引き上げという、お互いを制約しあう手段を同時進行で進める必要に迫られることになる。
(現時点で日本人の多くは、この2つのうち長期金利ターゲットを優先すると考えているだろう。)

エラリアン氏をはじめとして、多くの外国人は日銀がそろそろ金融政策正常化に踏み出すと読んでいる。
このあたりのニュアンスは日銀とはまったく相いれないところがある。
期待をアンカーし続ける必要があるとは言え、強力な緩和を継続するとの日銀のスタンスは揺らいでいない。
金融政策正常化と十分な金融緩和の間を埋めるものはなんだろう。
エラリアン氏はど真ん中の正論を突いている。

「この実施が容易かどうかの大部分は、安倍晋三首相の国内政治におけるより強い指導力が、長らく遅れている構造改革の実施に発揮されるかどうかにかかっている。」

金融政策のアクセルを踏むのではなく(少々古い表現になるが)構造改革のターボ・スイッチを押すべきとの指摘である。
「長らく遅れている」理由の一端は、数に支えられた指導力がこれまで最優先だったはずの経済にではなく、選挙でもろくに言及されてこなかった防衛・外交に費やされてきたところにあるのだろう。
エラリアン氏は具体的言及を避け、さらりと書いている。

2018年の世界の中央銀行のリスクとは何か、エラリアン氏はこう書いている。

「これらすべての中央銀行が中国人民銀行とともに同時に金融刺激策を減じると決定したら何が起こるだろう。
中央銀行に関するかぎり、これこそ資産価格・世界経済に対するリスクの最大の源泉である。」


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