エラリアン:ローフレーションの過信

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独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏は、現在の金融市場が善意によって歪められていると語った。
この歪みを解消するには金融政策によらないファンダメンタルズ改善が必要だが、その見通しは明るくないという。


市場は政策実行に関して低インフレ Lowflationが居座ると信じている。
だから利上げの先行きを低く見ているんだ。
私はそれほど確信していない。

エラリアン氏はBloombergで、市場に立ち込めるゴルディロックスへの信仰に危機を抱いている。
グリーンスパン・プットに始まり、FRBは長い間公式の目標としないながらも資産価格を下支えしてきた。
今回も資産価格を下落させるような引き締めはしないだろうとの楽観が米市場にはある。
実際、ジャネット・イエレンFRB議長が今週のジャクソンホールでの講演で金融政策に触れなかった時、それが予想されていたにも関わらず、市場はハト派的なメッセージと捉える反応をした。
ジャクソンホール前には多くのFRB高官がバランスシート縮小・利上げを市場に織り込ませようと発言を続けていたのにである。
あたかも講演前からそう反応することを用意していたかのようだ。

米株価はすでにサブプライム/リーマン危機前を大きく上回る水準に達し、さらに史上最高値を試そうとしている。
住宅価格もサブプライム前に迫る勢いだ。

米株価指数(Russell 3000、青)とケース・シラー住宅価格指数(20都市、赤)


「FRBは金融不安定化のリスクについて言及を増やすだろう。
それが将来の経済成長を損ねるため、FRBは重視している。
FRBが目下の金融不安定化のリスクについてどれだけ考慮しているかについて、市場はあまりにも楽観的なように見える。」

イエレン議長の講演の内容は金融規制についてだった。
資産価格が上昇し、金融が不安定化するリスクが高まる中、トランプ政権は危機の再発を防ぐために設けられた規制を取り払おうとしている。

そもそも現在の史上最高水準の資産価格は米経済の実力なのか。
そう考える人はほとんどいまい。
FRBの非伝統的な金融緩和があってこそ成立しえた資産価格でありファンダメンタルズであることは誰しも理解しているだろう。
エラリアン氏は3つの重要なポイント(リターン、相関、ボラティリティ)のすべてについて金融市場は歪められていると語った。

「それは理解できることだ。
FRBがマクロ経済改善のため目指した資産チャネルの伝達経路だからだ。
善意によって歪められた市場だと思う。」

エラリアン氏は、経済を回復させるためにとられた金融緩和策について善意に基づくものとして批判をしない。
一方で、現在FRBが進めつつある利上げ・バランスシート縮小についても適切な行動と評価する。
しかし、歪みを直すのは金融政策だけでは不可能だ。

「政策の(財政・成長戦略などへの)交代によってもたらされるファンダメンタルズ改善によって(資産価格が)正当化されることを願っている。
しかし、見通しはよくない。」

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