エラリアン:イールドカーブのフラット化は心配無用

独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏が、フラット化の進む米イールド・カーブについて解説した。
かつてビル・グロス氏とともに債券ファンドPIMCOを率いたエラリアン氏は、今回のフラット化を心配無用と書いている。


経済・政治・テクニカル的観点からは、今後数か月のうちにイールド・カーブのスティープ化が予想される。

エラリアン氏はBloombergへの寄稿で市場を脅かすイールド・カーブのフラット化/逆ざや化の懸念を一蹴した。
同氏は、たいていは外れる「This time is different.」(今回は違う)という予想をすることにためらいながらも、過去のように不況の兆しとはならない理由を8つ挙げている:

  • 他の市場の指標が不況入りを示唆していない。
  • 先行指標を含む経済指標は良好で、賃金・インフレの上げ渋りも終わりそう。
  • 減税は短期的には経済成長にプラス。
  • 今後はインフラ支出の議論に期待できる。
  • 景気が悪化すればFRBの政策調整が見込める。
  • 世界経済が同時拡大している。
  • 米長期金利の低位安定の一因は日銀・ECBの量的緩和。
  • もう一つの一因は債務重視運用(Liability driven investment, LDI): 年金が株式売却益を得て、リスク管理の観点から長期債に振り向けてきた。

さらに今後起こるであろう4つのテクニカル要因を挙げる:


  • ECBがテーパリングを開始する見込み。
  • 財政政策等による米国債供給の増加。
  • 日欧投資家の米国債投資の為替ヘッジ・コスト上昇で、米国債への需要が弱まる。
  • LDIのフローが減少する。

なるほど説得力のある理由がならぶ。
確かにこれらは米長期金利がこれまで頭打ちだった要因・今後の上昇要因ではあるだろう。

米10年債(青)・2年債(赤)利回り、10年-2年スプレッド(緑)、実効FF金利
米10年債(青)・2年債(赤)利回り、10年-2年スプレッド(緑)、実効FF金利

ただし、それでは短期側の金利上昇が最近急激である理由が明らかとは言えない。
FRB利上げにより上昇したFF金利に背中を押されているのは間違いないが、2年債利回りが10年債利回りに急接近しているのになぜ2年債がもっと買われないのか。
今後も利上げが予想され、長短金利差が小さくなっているなら、今は短めのデュレーションにとどめておこうというのも一つの考えだ。
ところが、それが優勢にはなっていない。
イールド・カーブの不安とは低い長期金利の不安だけではない。
あくまで短かめの金利とセットの話である。
この話まだまだ尾を引きそうだ。


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