ウーバー株価を決めた「困難な時代」: アスワス・ダモダラン

ニューヨーク大学Aswath Damodaran教授が、ウーバーの将来について「楽観的な」見通しを語った。
可能性がないとはしないものの、厳しい先行きを予想した。


私たちはとても困難な時代に生きている。
昨年20億ドルの赤字を出している会社に600億ドルの値付けをすれば悲観的にもなる。
でも、それが今の時代であり、私たちはその中にいる。

「バリュエーション学部長」の異名をとるダモダラン教授がCNBCでウーバーの上場についてコメントした。
ライドシェア2位のリフトが3月に上場した時も、株価はさえない動きに終始した。
同1位のウーバー上場についても向かい風が予想されていた。
仮条件の価格は44-50ドル、IPO価格はその下限に近い45ドル。
10日の上場時の初値は42ドル、初日の終値は41.57ドルと軟調だ。
市場は高値で売り逃げたい株主・会社の思惑を見透かしているかのようだ。

ダモダラン教授は淡々と自身がウーバーについて楽観していると話す。
しかし、その論理だった語りに楽観を感じさせるところはない。

「私はウーバーの成長力について一貫して過小評価してきたが、収益力については過大評価してきた。
ウーバーの真の試練は克服済みの成長ではなく、将来、近い将来でなく遠い将来に利ザヤを実現できるかだ。
重要なのはその道筋を見出せるかであり、ウーバーは見つけると思う。
ただし、みんなが言っているほどには容易でも儲かるものでもないだろう。」

可能性がないとはいわないが、約束されたものでもたやすいものでもないと言っているのだ。
ダモダラン教授は、ウーバーが「第2のAmazon」に化ける最低条件を語る。


「こうした企業にとっての本当の試金石は、どう成長し成功するかではなく、どう停滞期を切り抜けるかだ。
Amazonが今日のようになりえたのは、2001年の危機に崖っぷちまで追い詰められた時にどう対処したかにある。」

ダモダラン教授は、ウーバーが目指す収益性を実現するには運賃の値上げが必要だという。

「ニューヨーク空港からニューヨーク・シティまで43ドルではなく75ドルの運賃なら儲かるようになる。
この1年は43ドルのままだ。
この運賃を前提にすると、ウーバーのドライバーが儲けられるとは思えない。
ウーバーとリフトがもう一方を低賃金で働かせないよう運賃を上げる合法的な協定を結べるかはわからない。」

ライドシェア企業が持続的に利益を上げるには下請け先となっている個々のドライバーが利益を上げ下請けを継続することが最低条件になる。
しかし、そのドライバーらは今週、公正な取引条件を求めて全米でストライキを行った。
全員が参加したわけではないようだが、ウーバーやリフトへのプレッシャーにはなったはずだ。
問題は、ドライバーへの払いを改善したとして、それを顧客に転嫁できるのかだ。

「(徐々の賃上げは)希望の光だが、60ドルになったところで、私は公共交通手段に戻るだろう。
彼らは無制限の価格設定はできない。」

もともと価格の優位性で拡大してきただけに、値上げをしにくい事業構造にある。
ドライバーからのプレッシャーが強まる限り、容易に利ザヤが拡大するようにも予想しにくい。

ダモダラン教授は、ウーバーの新事業についても慎重な見方を示した。
運送事業のような新分野は立ち上がらないと厳しい予想を話した。
成功のいかんは、うまく儲かる分野が見つかるかにかかっているという。

タクシー事業は特にソフトで参入が容易だ。
ひとたび運送業に参入すれば、ウーバーが最初に参入した事業ほどにはソフトではないだろう。
ウーバーの成功を振り返ると、ウーバー・イーツだけが儲かっている事業拡大だ。
この事業はライド・シェアにとてもよく似ている。


 - 投資, 企業