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ウーバーのように緩い金融政策:モハメド・エラリアン

アリアンツ経済顧問のモハメド・エラリアン氏が、最近の米長期金利低下の原因、短期的な米国株市場の見通しを述べた後、その先に待ち構える世界経済・市場のリスクについて言及している。


米10年債利回りは第1四半期末の1.70%から金曜日に回復する前の木曜日の取引時間中に1.25%まで低下した。
この経済成長率上昇やインフレの結果を考えると直感に反する動きについては、3つの説明がなされてきた。

エラリアン氏がFTで12日、第2四半期以降進んだ米長期金利低下について論じている。
ここで挙がった3つの「説明」については、同氏はすでに何度か言及している。
ファンダメンタルズ、政策、テクニカルの3要因であり、エラリアン氏の見立ては、テクニカル要因が大きく効いているというものだった。

エラリアン氏は、短期的な米国株についてリバウンドを予想している。
・TINA: 他に選択肢がない
・BTD: 押し目買い
・FOMO: 乗り遅れる恐怖
の三拍子が、投資家をリスク資産に駆り立てるためという。
もしかすると、これはすでに金曜日から始まっているのかもしれない。

一方で、エラリアン氏は、この三拍子をもってしても2つのリスクは払拭できないとも指摘する。

  • デグロシング: リフレ・トレードのの巻き戻し。
    リスク資産が売られ、無リスク資産が買われ、それが広範な資産クラスに波及する。
  • 経済・金融システムの慣れ: 「あまりにも多くの良いこと」に慣れ切っている。

エラリアン氏は特に「あまりにも多くの良いこと」が経済・市場に及ぼした影響を心配する。

投機的過剰がさらに積み上がり、経済全体でより多くの資源が誤って配分され、より多くの持続不可能な債務が発生している。・・・
明らかなのは、単に米国だけでなく、経済・市場の重大な疑問に否応なく近づいていることだ:
ウーバーのように緩い金融政策が相当に長く続いた今、まだ秩序だった出口はありうるのだろうか?

リーマン危機後の2009年、エラリアン氏は「ニューノーマル」という言葉を用いて危機後の経済を予想した。
この概念がどれほど市場から受け入れられたかは、誰もが知る通りだ。
同氏は(オバマ政権では共和党の反対で実現しなかった)大型の財政政策が実現すると、2017年に「ニューノーマルの終焉」を宣言している。
そのエラリアン氏は昨年、コロナ禍の後に「ニューノーマル2.0」が訪れると警告した。
もちろんバージョン2はバージョン1より強力なのが通常だ。
つまり、危うい状況が増している。
それが、上記の「重大な疑問」につながるのだろう。

アベノミクスが始まった頃、複数の人が「ルビコン川を渡った」という表現を用いていたのが思い出される。
当時の日本人は、アベノミクスに肯定的な人も否定的な人も《この政策に出口があるのか》との疑問を抱いていた。
(肯定派の一部は出口を不要としたが、世界的にみてそうした見方がコンセンサスになった様子はない。
完全に元通りにする必要はなくても、かなり巻き戻す必要がいつか出てくるという考えが優勢だろう。)
金融・財政政策がかなり伸び切っているという点で、日本を嗤えなくなっている米国。
日本より元気な経済であるだけに、日本がかつて渡った川が何だったか、近く教えてくれるかもしれない。


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