政治

ウォーレン税制は破滅的:ローレンス・サマーズ
2019年11月26日

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、民主党から大統領選を目指すエリザベス・ウォーレン上院議員の唱える税制案に反対意見を述べている。


「基本的にウォーレン上院議員の政策は、私が読んだところ、累進性を高める潜在的戦略として選ばれてきたすべての選択肢を網羅し、それを一度に実現しようというものだ。
そうすることで、すべての億万長者の修正後総所得(AGI)から可能な限り税をとろうとしている。
強制収容に近いそうした税制の実現性は薄く、もしも実現されれば経済に破滅的な結果をもたらすだろう。」

サマーズ氏がCNBCで、民主党左派ウォーレン上院議員が提唱する税制改革案について厳しく批判した。
かつて民主党ビル・クリントン政権で財務長官を務め、リベラル色の強いハーバード大学では学長を務めた同氏は、これまで一貫してトランプ大統領と共和党を批判してきた。
一方、ウォーレン氏はかつてハーバード大学等で教授を務め、マサチューセッツ州選出の上院議員を務める民主党左派の代表格だ。
プログレッシブ・リベラルの中で、中道が左派を税制に関して厳しく批判する構図となっている。
民主党内でさえこれほどの亀裂があるところに、米国の分断の深刻さが垣間見える。

サマーズ氏は税制において検討すべき点をいくつか挙げている。
第一に、現在の税制で課税されているのに徴収できていない約7兆ドルの回収率を上げることをスタート・ラインにすべきという。
さらに、累進性を高めるための検討対象として、キャピタル・ゲイン課税(節税の穴)、法人税(特に外国所得)、キャリード・インタレストの分野を指摘した。

サマーズ氏は、富裕層の租税回避に対する対策として、IRSの効率的な強化を提唱している。
無駄な組織拡大ではなく、ブッシュ(子)政権終わりと同等の体制に戻し、富裕層向けの監査を強化するだけで大幅な税収増が見込めると主張する。

これこそ、比較的裕福な人たちからの税収を増やすため、最もすぐに手のとどく果実だと思う。
しかも新たに歪みを生んだり、税率を上げたり、新たに遵法のための負担を強いることもない。

確かにサマーズ氏の提案は理に適っている。
ウォーレン氏の富裕税がすべて間違いではあるまいが、早急な実現可能性まで考えれば、サマーズ提案は優れている。
この内容ならば、中道よりの共和党員でも納得がいくだろう。
しかし、米国の世論においては、こうした中道の提案は出来のわりに受けない。
出来の悪い、危険な案が好まれる。

これまでは金融政策だったが、今は財政政策が非伝統化する時代だ。
これらは時間がかかっても、いつか金融市場に大きな影響を及ぼすのだろう。


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