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ウォーレン・バフェット氏、第3四半期も自社株買いを拡大

ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが第3四半期も自社株買いを拡大している。


バークシャーの第3四半期の報告書10Qによれば、同四半期中の自社株買いは約90億ドル、3四半期合計で157億ドルとなった。
同社史上最高だった第2四半期の51億ドルを大きく上回る規模となった。
ちなみに昨年度は年間で約50億ドルを自社株買いに投じている。

第2四半期の記事で議論したとおり、自社株買いの典型的な背景には、手許現金の余剰感、投資機会の不足、自社株の割安感などが挙げられる。
確かに、バークシャーの場合、このいずれもがあてはまるように見える。
バフェット氏は今年2月の株主向け年次書簡で、自社株買いについての見解を示していた。

私たちの考えは煎じ詰めるとこうなる:
バークシャーが自社株買いを行うのは次の条件が満たされる場合だけだ。
a) バークシャー株がその価値より安く売られていると、チャーリー(・マンガー副会長)と私が信じること。
b) バークシャーが自社株買いを終えてもなお十分な現金を残すこと。

第1四半期の自社株買いがさほど多くなかったことからわかるとおり、年初、つまりコロナ・ショックが本格化するまでは、バフェット氏はそれほど自社株買いに前のめりでなかったようだ。

「根源的価値の計算とは精緻からはほど遠い。
したがって、チャーリーも私も、1ドルと推計される価値のものが95セントだったからといって買い急ぐべきとは感じていない。」

ところが、コロナ・ショックで市場が大きく下げ、回復基調に回帰すると、事情は変わってきた。
市場全体に対してバークシャー株の回復が出遅れたように見える状況になったのだ。
株価が下がってお買い得の銘柄が出てくるのを待っていたら、皮肉にもそれが自社株だったというような話だ。
バフェット氏は下がった自社の株価に働きかける意図はないと否定するが、上記条件a)が示すのは、バフェット、マンガー両氏が、自社株買いの時点でバークシャー株を割安と見ていたということだ。

長い目で見て、バークシャー株の発行済み総数が減ることを希望している。
もしも価格/価値のディスカウントが(推計の結果)大きくなるなら、自社株買いにより積極的になる可能性が高い。
しかしながら、私たちはどのような水準であろうと株価を押し上げようという意思はない。

市場がこのシグナルをそのまま真に受けることはなかったようだ。
最近のバークシャーは、テクノロジーVBにIPOと同時に投資したり、日本の商社5社に5%ずつ投資したり、銀行株航空株のエクスポージャーを変更したりなど、らしくない投資行動も見られている。
集団指導体制への変化を感じさせる出来事が多い。
これに対応し、市場の側のバークシャーに対する見方にも変化があるようだ。

皮肉なことに、市場によるバークシャーの見方に変化があれば、神格化されてきた企業ゆえに株価ば弱含んでも驚くことではない。
それがアンダーパフォームに繋がれば、究極のインサイダーであるバフェット、マンガー両氏から見たディスカウント率は大きめに映るのかもしれない。
つまり、高水準の自社株買いがしばらく続くのかもしれない。
これにストップをかけるとすれば、バークシャー株よりも魅力的な大型投資案件の出現だろう。
果たして、バークシャーは、近いうちに莫大な手元資金に見合った新たな投資機会を見出すことができるだろうか。


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