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アスワス・ダモダラン ウォーレン・バフェットの盲点:アスワス・ダモダラン
2022年4月10日

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授による「バリュー投資」批判の2報: バリュー投資にまつわるアドバイスの危険性。


バリュー投資は投資家に対し多くの悪いアドバイスを行っている。

《バリュエーション学長》がMicha.Stocksのインタビューで、《バリュー投資》コミュニティを批判している。
今回は、かなり直接的にウォーレン・バフェット氏やその信者への批判を含んでいる。

良い会社(の株)を買って、(買った後は)忘れてしまえ。
どんな世界でこれが良い考えになるのか。
まず、良い会社をいくらで買うかが重要だ。

これは一部バフェット信者への批判だ。
バフェット氏の《良い会社を買う》という信条だけを伝え、《価格が重要》という必須条件を落としてしまうことがある。

これが片手落ちなのは明らかだ。
たとえば、代表的バリュー投資家として数えられるハワード・マークス氏の投資対象はディストレスト。
悪い会社が投資対象だ。
何を買うにも価格次第なのだ。
しかし、往々にしてその部分が割愛されてしまう。

ダモダラン教授のもう1つの批判は、バフェット氏に対するものだろう。

「もう1つバリュー投資家が聞く酷いアドバイスは集中投資だ: 持つなら5銘柄にしろ。
彼らの言い方は『もしも自分がやっていることを信じるなら、どうして賭けの対象を広げるのか。間違える可能性を知っているのに』というもの。」

これはバフェット氏自身の発言趣旨に関する批判だ。
ただし、その後バフェット氏は考えを変えているようにも見える。
銘柄選択でなくインデックスを奨めているからだ。
しかし、「集中投資」はバフェット信者の中に根付いた信仰になっているといっても誤りではないだろう。
バフェット氏にしても、地域に関しては圧倒的に米国を選好しており、一種の集中投資と言えなくもない。

ダモダラン教授は、集中投資に潜む問題を指摘する。

5つ最良の会社を見つけることができ、それら5社への自分の考えに市場がすり寄ってくると信じるのは自信過剰だ。

誰しも神ではないから、とりわけ将来を正しく予想することはできない。
そういう認識が分散投資を生んだ。

ダモダラン教授は分散を奨める。

賭けを広げることとバリュー投資家であることは矛盾しない。
市場・地域・セクターで分散し15-20の割安な会社を買うことは、偉大と思う3つの会社を選びそれが成功すると期待するより、分別があり傲慢でない投資法だ。

ダモダラン教授は、バリュー投資にまつわる悪いアドバイスが、ある時はバフェット氏本人から、ある時はそれ以外からなされていると心配する。
教授は、バフェット氏もまた人間だとし、過去30年間テクノロジーへの投資を躊躇して後れを取った点を指摘している。
ダモダラン教授は、テクノロジーに手を付けなかったことより、その理由の方を問題視している。

彼はテック株を30年避け、その言い訳が『完全に理解しないものには投資しない』だった。
このアドバイスがどんなに危険なことか。
私は人生の中で年配であるがゆえに多くの出来事を理解していない。

ダモダラン教授はここから、やや強引だがとても考えさせられる仮説を展開する。
それは年齢と投資の関係だ。

「私は、なぜティックトックが熱狂されるのか理解していない。・・・
もしも私がティックトックへの人々の熱狂を理解しないからといってティックトックに投資しないなら、私は年を取るにしたがい、どれだけの会社を投資対象から除外してしまうことになるか。
これが、バリュー投資家に年寄りが多い理由だ。」

ダモダラン教授の言には相応の説得力がある。
しかし、誰でもいつまでも新しいものを苦も無く理解できるわけではあるまい。
ただ理解するだけではだめで、他の投資家と少なくとも同等によく理解しなければいけない。
それが現実的でないと思うなら、そうした銘柄を回避するのも1つの現実的な解かもしれない。
つまり、年齢とともに理解力が衰えるのを受け入れるなら、低リターンを甘受するか、パッシブで満足するかという選択になってしまうかもしれない。

ダモダラン教授は何を話すにも歯に衣を着せない。
決してバフェット氏をディスるつもりはないのだろうが、間違っていることは間違っているとはっきり述べる。
そう発言することに建設的な意味があるからだ。

伝説の投資家にも盲点はある。
その盲点を自分の盲点にしないように注意すべきだ。


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