アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、順調に回復を続ける米国株市場の論理を解説し、先行きに不安を投げかけている。
私たちは山あり谷ありで再始動しようとしている。・・・
でも市場は完全に現実から離れている。
市場は、ウィン・ウィンにひよってしまった。
エラリアン氏がCNBCで、停滞する経済を尻目に回復を続ける市場について解説した。
同氏が「ウィン・ウィン」というのはモラル・ハザードに根差したトレード戦略だ。
経済再始動がうまく行けばウィン。
うまく行かなくてもFRBが助けてくれてウィン。
市場は、過去のFRBの行動を見てきた。
もはやFRBが市場を見捨てられないと見透かしているのだ。
エラリアン氏は経済の先行きを安心していない。
いくつかの州や国で始まっている再始動についても楽観できないと話す。
「(土地ごとの)違いは大きい。
問題は、国や世界経済の中で相互につながっていることだ。
それぞれが異なるスピードで(経済再始動を)進めようとしている。
家庭内でさえ仕事に出たい人とそうでない人がいるんだ。」
経済に大きな不確実性があろうが、市場はFRBの助けを当て込んでリスク・テイクを続けている。
エラリアン氏は、こうした戦略の妥当性を尋ねられると、資本構成に沿って程度が変わってくると話した。
資本の内リスクが小さいものでは堅い戦略になりうるが、リスクが高まるにつれそうでなくなっていくという。
- 米国債: 市場をアンカーする資産でありFRBがどこかで必ず支えるため、ボラティリティを売ってよい。
- 投資適格債: FRBが支えると見込まれ、何がしかのスプレッドを取りにいける。
- ハイイールド: グレー・ゾーン。
- 米国株: FRBが下支え対象を拡大してきたことで生まれた錯覚に賭けることになる。
エラリアン氏によれば、ファンダメンタルズ重視の投資家は上の方の選択肢を選び、投資のプロのほとんどがこれを選びたいと考えているという。
下に行くにしたがい、株式ではファンダメンタルズで買える銘柄は数少なくなり、テクニカルで売買する投資家がインデックスに向かっているという。
エラリアン氏は、どこまでウィン・ウィンの目論見による戦略が広がっていくか心配している。
問題は、市場がどこまで(FRBの)先回りをするかだ。
FRBはまだハイイールドも投資適格も債券を買っていない。
それでも市場はそれを全部織り込んでしまっているんだ。