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ウィルス+金融緩和=スタグフレーション:ピーター・シフ
2020年2月26日

ユーロ・パシフィック・キャピタルのピーター・シフ氏が、新型コロナウィルスと各国金融政策がスタグフレーションをもたらすリスクを主張している。


FRBがゼロ金利政策を約束するかどうかに関係なく、米国はゼロ金利に向かっている。
実際、債券市場は年内数回の利下げを織り込んでいる。
債券市場は正しいが、それは(利下げが)適切な政策であるということではない。

シフ氏がロシア国営RTで、米国はゼロ金利政策に逆戻りすると予想している。
昨今のコロナウィルスの問題もそれを後押しすると見ているようだ。

日本時間25日15時のCME Fedwatchによれば、今年12月時点でFF金利が現行の1.50-1.75%に据え置かれるとする確率はわずか6.6%にすぎない。
モードは2回利下げ(1.00-1.25%)の32.4%。
概ね1-4回の利下げが予想されている。
FRBは様子見のつもりだったのだろうが、市場はすっかり利下げを織り込んでいる。

シフ氏もまた利下げを予想するが、その効果には冷ややかだ。

FRBは利下げすべきでないが、それしかできないという理由でやるのだろう。
でもそれはコロナウィルスも経済も治療しない。
ただ米経済の病気を重くするだけだ。

確かにコロナウィルスの治療にFF金利引き下げは役立たない。
比喩的な意味でも、すでに十分に低金利であることを考えると、コロナウィルス対策の利下げというのはしっくりこない人も多いかもしれない。

シフ氏は、コロナウィルスの問題がさらに大きくなるシナリオを具体的に思い描いている。

「コロナウィルスがより大きな問題になるなら、本当の脅威は生産の封鎖になる。
仕事に当たれる人が減り、生産される財が減る。
企業は必要な供給を得られない。
・・・財が不足する。」

ここまでは多くの人が同意する議論だろう。
しかし、ピーター・シフ・ワールドはここからさらに大胆な展開を見せるのだ。

「正しい金融政策は、供給の減少に合うよう流動性を吸収するとこだ。
しかし、反対にFRBほかの中央銀行は流動性をさらに供給しようとしている。」

人間の観念とは面白いものだ。
確かに現在、流動性が不足しているがゆえにコロナウィルスの問題が深刻化しているとの感覚はない。
しかし、だからといってこのタイミングで金融引き締めを行うべきとの意見は皆無だろう。
もちろん笑い飛ばすこともできるのだが、その一面で無視できない一理も含まれている。

財の供給減少に対して需要を増やそうとしている。
そうなれば、消費者物価が大きく上昇し、停滞が悪化してしまう。
最悪のケース、スタグフレーションになる。

金融緩和が需要だけでなく供給も支えてくれることを祈るばかりだ。


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