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グッゲンハイム スコット・マイナード ウィルスのリスクは過小評価されている:スコット・マイナード

グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏は、新型コロナウィルスによる致死率がSARSよりはるかに高いと指摘し、市場の楽観を警告した。


「この比較が極端に見えるのはわかっているが、市場参加者は1938年のネヴィル・チェンバレン英首相に似た認知的不協和に浸っているようだ。
チェンバレンは同年、英国だけでなく世界が『我々の時代のための平和』を享受すると自信をもって保証した。
・・・2年後、ナチスが英国を爆撃した。」

マイナード氏が自社ブログで米市場を支える自己満足に警鐘を鳴らしている。
分野こそ異なるものの同氏が現在と似ていると挙げたのは1938年。
このあたりを引き合いに出す人が多くなった。
レイ・ダリオ氏は数年前さかんに当時が1937年頃に似ていると言っていた。
ロバート・シラー教授も昨年、1937-38年に似ていると話している。
異例の拡張的金融・財政政策で恐慌を乗り切ったところで景気が傾き始める時期といったイメージなのだろう。

マイナード氏は、強気相場を続ける市場の裏で多くの赤信号が灯っていると警告する。
最近の赤信号が新型コロナウィルスだ。
同氏は、メディアの報道を批判する。
メディアが報じる致死率が(これまでの死者数÷これまでの感染者数)で計算されているからだ。
マイナード氏は、分母と分子の対象が対応していないとし、分子を(これまでの死者数)とするなら、分母は(死者数+完治者)であるべきと主張した。
この計算によると死亡率は18%となり、SARSの9.6%よりはるかに高くなるという。

「コロナウィルスは1月初めに広く報告され、総死者数はすでに9か月続いたSARSを上回っている。
コロナウィルスははるかにSARSより致死率が高く、封じ込めができなければ世界的なパンデミックになる。」

淡々と真っ暗な将来を予想するのはマイナード氏の十八番だ。
このあたりは当代随一の債券投資家の面目躍如といったところだろう。

マイナード氏は前回の世界的なパンデミックの事例として1918年のスペイン風邪を挙げ、世界の人口の3%にあたる50百万人が死亡したと紹介している。
そして、グッゲンハイムの怖いところは、怖いことを淡々と推計するところだ。
コロナウィルスの中国経済・世界経済への影響を定量的に推計している。

私たちの推計では、第1四半期の中国のGDPは、第4四半期のすでに鈍化した年率+6%の数字から、年率-6%へ切り下がる。
世界経済の成長率も最近のトレンドから200 bpほど低下させるだろう。

当然ながら、世界のサプライチェーンが打撃を受け始めている。
中国だけにとどまらず、企業収益にはブレーキがかかる。
マイナード氏は、エネルギー価格にさらに大きな影響を及ぼすと指摘している。

こうしたリスク・シナリオに気づいていながら、市場は認知的不協和をもってリスク資産を買いあがっている。
この不協和が解消される時、市場が巻き戻しを迫られるかもしれない。

マイナード氏は、この状況が悪い終わり方をすると予想する。

私のキャリアの中で、今ほどすべてがばかげて見える時はなかった。
2006年、私が机を叩きながら、悲惨な金融危機がやってくると言った時もばかげた状態だった。
1997年の10月ハイイールドの米国債に対するスプレッドが239 bpまでタイトになり、その後5年間行ったり来たりしながら大きく拡大し、2002年10月に1,036 bpまでワイド化した時もばかげた状態だった。

マイナード氏は、ばかげた時代がすぐに終わるとは限らないことをよくわかっている。
すぐ終わるなら、やるべきことは決まっている。
すぐに終わらないからこそ投資家は悩むことになる。
同氏は、(あるハードル・レートを満たす中で)可能な限り質の高い投資対象、長期で資産保全を目指す投資を奨めている。

マイナード氏は最後に、経済・市場の大局観について書いている。

私たちはこれから、完全に新しいパラダイムに入るか、あるいは、市場における投機のエネルギーが信じられないほど制御不能な状態になるかだ。
私は後者だと思う。
私は以前、愚かな季節に入ると言ったが、間違っていた。
とんでもなく愚かな季節に入ったんだ。

パラダイムに言及したのは、最近のレイ・ダリオ氏の発言を意識したものだろう。
ダリオ氏とは異なり、マイナード氏はパラダイム・シフトが起こっているわけではないと考えている。
そうではなく、景気サイクル終期のルーティンが、程度を大きくして起こっていると言いたいのだろう。
おそらく10段階のルーティンの2-3番目の段階だ。


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