イールド・カーブ順ざや化を喜ぶのは早い:モハメド・エラリアン

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、各国中央銀行の内部で進む心理変化と米イールド・カーブについて深読みしている。


(イールド・カーブの)継続的正常化が経済指標の改善によって進んだと論じるのは難しい。

エラリアン氏がBloombergへの寄稿で最近のイールド・カーブ逆転の解消について書いている。
イールド・カーブの逆転が解消し、10年-2年をはじめとするいくつかの年限で順ざやに戻っている。
景気後退の予兆とされるイールド・カーブ逆転だけに、その解消は朗報ともとれる。
しかし、最近の内外の経済データを見る限り、そう解釈すべきでないというのがエラリアン氏の見解だ。
では、イールド・カーブ順ざや化は何を意味するのか。

米イールド・カーブの回復についてのよりよい説明は、米国・諸外国における将来の中央銀行の政策に対する変化していく市場の見方の方にあるのだろう。

ここで政策の変化と書かれているのは、中央銀行が非伝統的金融政策に対し慎重になっていることを指している。


「こうした金融緩和は経済活動に対してあっても限定的な持続的恩恵しかないと見られている。
さらに、これは将来の金融不安定、経済全体の資源の非効率配分、将来の経済的安定を確保できるか心配する人による逆行の行動のリスクへの心配を助長する。
逆行の行動とは、リスク回避の高まりと、低リスクの退職準備商品や生命保険のような金融保険商品への脅威によって引き起こされる貯蓄の増加などだ。」

長く続く極端な金融緩和が景気刺激策に逆行する悪影響を及ぼしているとの考えが広まりつつあると指摘しているのだ。
これがどれほどコンセンサスになっているかはわからないが、終わりの見えない金融緩和に米国でも疑問を投げかける人が増えているのは事実だろう。

こうした市場の意識変化はもちろんイールド・カーブに作用する。
量的緩和期待・金利先安期待が後退すれば、イールド・カーブの長期側が持ち上がるのも自然なことだ。

米国債イールド・カーブの長短逆転に対し米景気後退の大きな懸念と反応するのは賢明でない
同様に、最近の部分的な(順ざやへの)戻りを米経済見通しの大きな改善の兆しととるのは早すぎる。
そうではなく、いずれも中央銀行の異常な政策の期間が長かったことで伝統的な経済シグナルが歪められてきた程度を思い出させるものだ。


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