ブラックロック
 

イールド・カーブ長短逆転は杞憂:ブラックロック

資産運用の世界最大手ブラックロックが、米イールド・カーブの長短逆転についてコメントしている。
米国債市場では、3か月と10年の利回りが逆転したとして、市場の不安を掻き立てている。


イールド・カーブの傾きは歴史的に、米景気後退のおよそ1年前に長短逆転し、少なくとも1四半期逆転したままになる傾向がある。

ブラックロックが自社ブログで淡々と過去の事実を書いている。
この事実だけからしても、今回のイールド・カーブ逆転で景気後退が決定的と考えるのは早計であることがわかる。
要注意であることは間違いないが、悲観一辺倒になる前に、冷静になることも大切だ。
みんなが理不尽に悲観すれば、それが自己実現的に景気後退をもたらしかねない。
この話題の不気味さはそこにある。

ブラックロックは、イールド・カーブ逆転と景気後退の因果関係について誤解すべきでないと釘をさす。

私たちは、イールド・カーブの逆転そのものが(銀行の収益を阻害したり信用創造を制限したりすることで)景気後退をもたらすとは考えていない。
むしろ、イールド・カーブの逆転が過度に引き締まった金融政策を反映し、その政策こそが停滞の本当の原因だと考えている。


イールド・カーブ逆転が景気後退に先立つのが事実だとしても、それがそのまま因果関係を示すわけではない。
引き締めすぎの金融政策という隠れた根本原因があって、まずイールド・カーブを逆転させ、次に景気後退をもたらす。
私たちはしばしば後の2つの事象にばかり目を向けているというのがブラックロックの見方なのだ。

では、現在のFRBの金融政策は引き締めすぎなのか。
引き締めすぎとは何を基準に測るものなのか。

「過去3回の景気後退の前には金融引き締めが行われ、実質FF金利が中立金利を上回った。
米金融政策は今のところ緩和的な領域にあるように見える。
FF金利は推計される中立金利より下にある。」

ブログでは、FRBがこの数か月で電撃的なハト派転換を遂げたことを指摘し、FF金利が中立金利の手前で停止したと示唆している。
したがって、イールド・カーブ逆転も景気後退の前触れにならないと結論付けている。

その一方で、ブラックロックは2つ注意すべき点を挙げている。

  • 中国: 米中摩擦再燃や中国の経済成長ショックがあれば、短期的な経済収縮が起こりうる。
  • 欧州: 欧州で過度な金融引き締めがなされれば、それが米経済に波及しうる。

また、イールド・カーブにばかり目を取られると、重大な変化を見過ごすリスクにも触れている。

積み上がる世界の貯蓄が、長期利回りのターム・プレミアムを通して金利を押し下げているとも考えている。
これが示唆するのは、主要国債市場のイールド・カーブが過去との比較でよりフラットになるということ。
そうしたイールド・カーブには過去ほどは情報が込められていないかもしれない。


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