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イールド・カーブより怖い低金利:ジェフリー・ガンドラック
2020年1月18日

ジェフリー・ガンドラック氏のLitman Gregoryインタビュー第2弾: 昨年の米イールド・カーブ長短逆転の解釈を解説している。


みんながイールド・カーブについて大きく誤解しているのは・・・

ガンドラック氏がインタビューで、昨年起こったイールド・カーブ長短逆転についてのメディア等の取り上げ方を批判した。

  • 短時間の逆転・正転に一喜一憂した。
  • 2年-10年の差を見ていた。大切なのはFF金利と10-30年の差。
    「そこで見ると(一時的でなく)数か月も逆転していた。」
  • 景気後退に先行するのに同時指標のように伝えた。
  • 景気後退はイールド・カーブが順イールドになった後に起こることを伝えない。

とりわけガンドラック氏が問題視するのは4つ目の点だ。

金融メディアが間違っているのは、景気後退が始まる前にイールド・カーブがスティープ化することだ。
・・・景気後退で予想できるのは、まず逆転が起こり、次に再逆転が起こる。
それが今なんだ。

もしも、今が景気後退前のスティープ化の時期ならば、景気後退は一歩一歩近づいていることになる。
一方、このインタビューのあった昨年11月14日より少し前、ダブルラインは景気後退確率の予想を引き下げている。
この齟齬はどこから来るのか。
もしかしたら、FRBのバランスシート再拡大にともなう金利の反転上昇が効いているのかもしれない。

ガンドラック氏にはイールド・カーブより注目すべき指標があるという。
それは、金利水準そのものだという。
同氏によれば、金利低下こそイールド・カーブ逆転より強力な景気後退のシグナルだという。
ガンドラック氏は、投資家サイドから見て昨年の低金利がいかに異様なものかを説明する。

「10年債利回りが1.44%でオーバーナイト金利が2.25%なら(年金)理事会は10年債の保有がばかげていると決定するだろう。
インフレ率より低いのでは、何の投資ニーズも満たせないからだ。
実質ベースの利益を求めるニーズに満たないし、課税されるのだから特に税引後はなおさらだ。」

投資家の側は利回りに満足して投資しているわけではない。
それ以外の理由があるからやむなく投資をしているのだ。
ガンドラック氏は、その理由こそが景気後退懸念だと示唆したかったのだろう。
そして、その証拠としてある国の30年近い経済停滞を持ち出した。

金利低下がイールド・カーブ逆転より強いシグナルという私の考えを証明しているのが日本のケースだ。
日本では1991年以降イールド・カーブは逆転していない。
なぜなら、金利がないからだ。・・・
日本は深刻な景気後退を経験してきたが、イールド・カーブは逆転しなかった。

ガンドラック氏は、ターム・プレミアムを用いてイールド・カーブを議論しようとした質問者に対して、冷酷に「それは本当に学問的な議論で、私は学問的な議論が嫌いだ」と答えている。
確かに、中央銀行が金利をひどく多くの項に分解して議論する時、そこに中央銀行の自己満足しか感じられない実務家は多いのだろう。


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