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インフレ税が普通の人々を苦しめる:ピーター・シフ
2020年4月22日

ユーロ・パシフィック・キャピタルのピーター・シフ氏が、インフレの顕在化を予想し、すでに始まっている所得・富の移転を指摘している。


実際、経済がここまで病んでいる原因はコロナウィルスではなく、つまりウィルスは間違いなく悪化させたのだろうが、むしろコロナウィルスの前から経済は病んでいた。
その原因は、FRBが10年にわたってこの災害を誘引してきたためだ。

シフ氏はThe Income Generation Showで、FRBがバブルを生み続けてきたとの持論を展開した。
コロナ・ショックによる経済停滞の主因がそこにあるかは疑わしいが、問題の一端がそこにあるのはそのとおりだろう。
シフ氏は、ゼロ金利政策や量的緩和政策など過去の刺激策がこの苦境をもたらしたとし、現在の刺激策・救済策が問題をさらに大きくすると話している。

シフ氏の考え方が仮に極端すぎるにしても、同様にFRBのスタンスにも極端なところがある。
資産インフレを無視し、消費者物価におけるインフレが起きない限り刺激策を続けるというやり方はバブルを生みやすい。
FRBは前世紀の終わりから、そういうやり方を繰り返してきたようなところがある。
(少なくとも結果論ではそうなってしまう。)

では、シフ氏が問題と呼ぶものの帰結は何なのか。

すべての刺激策、すべての救済策には財源が必要だ。
何らかのものから支払わないといけない。
政府が税金で払わないなら、インフレでやるしかない。

ケインズの言葉を引くまでもなく、政府債務増は増税またはインフレによって返済されることになる。
(政府資産を売る方法もあるが、売れるもの、かつ売るべきものはかなり売ってきた面もあり、問題を抜本的に解決するだけのマージンはないことが多い。)
各国とも増税するようには見えないから、インフレ税が選択されると予想するのが自然だろう。

もちろん、政府が借金を必要としているなら、借金せざるをえないし、追って増税またはインフレ税で返済せざるをえない。
それを責めるわけにはいかない。
シフ氏はそれを責めているが、これはリバタリアン的な同氏のイデオロギーによるものだ。
万人がそう考えるいわれはない。
しかし、それでも留意しないといけないのは、インフレ税というやり方が立法によらない、場合によっては無秩序な実質的課税である点だ。
安倍首相が口にする「税こそ民主主義」の逆を行くような、公平でないやり方なのだ。

シフ氏は、この社会にフリー・ランチはないと話す。
これも冷徹な事実だろう。
そして、インフレで起こる所得・富の移転を簡潔に述べている。

インフレは、お金を借りてとりわけ生産資産を購入する債務者に恩恵を与える。
賃金労働者、預金者、安全なクレジットの保有者を害する。・・・
政府は刺激策・救済策の資金を調達し、預金者の購買力を盗み、経済に支出する。


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