海外経済 政治

インフレ期待が影響を受けないはずはない:ローレンス・サマーズ
2021年6月28日

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)は、民主党政権に近い存在でありながら、政権に対して言いにくいはずの小言を言い続けている。


以下、ポイントごとの気になる発言。

インフラ投資計画の合意

バイデン大統領は24日、上院の超党派グループとインフラ投資計画で合意した。
サマーズ氏は(経済過熱への懸念を持ちながらも)この合意を喜んでいる。

「投資は待ったなしだった。
投資は経済を強くし、困難を抱えた人たちの雇用を支える。・・・
投資は元が取れる」

「この法案は始まりであって最後ではない。」

独占禁止政策

バイデン大統領が米連邦取引委員会の委員に指名したリナ・カーン氏の人事が15日上院で承認された。
5人の委員の中の1人となり、民主党が同委員会の過半数を占めることとなった。
カーン氏は大統領の指名により同委員会委員長に就任した。
32歳の同氏は大手IT企業に対する厳しいスタンスで知られ、今回大抜擢となった。

サマーズ氏は、新たな経済には新たな思考・アプローチが必要と、大手IT企業への理解も示す。
正しい独占禁止政策の目的に沿って、委員会が活動するよう注文を付けた。

「究極的には、消費者によく奉仕する効率的経済は、独占禁止政策について正しい基準を有している。・・・
独占禁止政策を変更する場合に、競合を保護するのでなく競合者を保護すれば、米経済に深い打撃を与える。・・・
大きいことそれ自体が悪い、大きい者は解体すべきとし、小企業が非効率なのに競合上有利になるなら、1960年代の伝統的な独占禁止事例を読むべきだ。
それは、経済への無知という点で恐怖映画のようなものだ。」

物価動向

サマーズ氏は、インフレがほとんどの人が予想できなかったような動きをしていると指摘。
3-4か月前のコンセンサスは全く異なる水準だったし、当時、現在の高インフレを予想する人はいなかったと指摘。
同氏の心配は、需給の逼迫というより、何か月も高インフレが続くことでインフレ期待が上方にシフトすることのようだ。

「年末、今年のインフレは5%近くになっていると予想している。
5%インフレでもインフレ期待が影響を受けていないなら驚くだろう。」

米国の日本化

サマーズ氏は、今後の市場で動揺を予想するかと尋ねられている。
同氏は、1980年代終わりの日本のバブルを引き合いに出し、日本が30年経っても回復できていないと話した。
米国が同じ轍を踏むとは予想していないという。
一方で、政治の世界や市場を想定してか、心配なこともあると話している。

「心配する人が何度か否定され、みんなが『新たな時代だ』と言っていたら、とても用心しなければいけない。
年後半の今後6か月金利は上昇し、より乱調になるだろう。」

雇用

サマーズ氏は(失業給付上乗せが終わる)秋にかけて労働者が労働市場に戻る一方、需要も増大すると予想する。
需給のバランスがどうなるかは不透明としながらも、同氏の予想は、しばらくはインフレ的な状況が続くというもの。
サマーズ氏は、政権・FRBによる「一過性のインフレが存在する」との主張を「明らかに正しい」と話している。
ただし、だから安心できるわけではない。

問題は、インフレのほとんどが一過性なのか。
それとも、一過性のインフレとは、6%からは低下するがそれでも高い水準にとどまることを意味するのかだ。


-海外経済, 政治
-,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。