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インフレ時代の投資戦略:ジェレミー・シーゲル
2020年4月9日

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、来年以降のインフレ懸念とその中での投資戦略について語っている。


短い話をさせてほしい。
この短い話とは、米国が1兆ドルまたはそれをこえる金額、国家債務を増やそうとしていることだ。

シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、コロナ・ショック対策のための金融・財政政策の経済・市場へのインプリケーションを語った。
教授が問題視するのは量的緩和への復帰ではない。
単に中央銀行が資産を買い入れるだけなら、過去にもあったことだ。
ただ超過準備を増やすだけのこと。
(ほとんどの人には関係のない変化だ。)
しかし、今回は大きく異なる。
国債を大規模に増発した政府が、それを給付・融資の形で民間に配ることになる。
シーゲル教授は、これが来年、経済システムの中で循環し始めると予想する。

「今はシャットダウンでまだお金が使えない。
しかし、一たび恐怖が去って、ワクチンや治療法ができれば、これが引き出される。・・・
銀行に入金され、2021年をうかがうことになる。」

シーゲル教授は、これが10-15年ぶりの経済の過熱を引き起こすと予想する。

インフレが本当に問題になるかもしれない。
抑制のきかないインフレを予想しているのではない。
4-5%のインフレだ。

シーゲル教授は、ボルカー・ショックにつながる1970年代の2桁インフレのようなものを想定しているのではない。
そうではなく、第2次世界大戦後のような経済過熱になるだろうという。
莫大な流動性、消費意欲が戦争終結で解き放たれた時代だ。

2桁ではないものの4-5%といえば、アメリカ人にとってもそう愉快なインフレ率ではないのかもしれない。
シーゲル教授は、インフレ予防には2つの方法があるという。
・増税
・金融引き締め
教授は、やや高めのインフレが許容されると匂わす。
そのロジックは、政府側の都合だ。

「インフレが10%になれば、債務の10%が(実質的に)減らせる。
コロナウィルスの間の経済刺激のため行った全体を賄うことになる。」

借金が増えた政府が、借金をインフレで減らそうとする。
いわゆるインフレ税の手法だ。
これで政府が助かるなら、どこかに損をする人もいる。

こうした政策選択は、債券が良くならないことを意味する。・・・
今年はインフレはないが、来年は真剣に考えるべきかもしれない。
ところで、マイルドで穏やかなインフレ・シナリオは株式市場にとって悪いものではない。・・・
基本的に、将来のバリューの源泉として株式を考えることができる。
もちろん不動産も、リーマン危機とは対照的に、危機の間良い状況が続くだろう。

ただし、不動産については商業用の分野でリスクが高まっていると話している。

ウェブキャストでは、いくつか株式リスク・プレミアム(株式と債券の期待リターンの差)について質問が出た。
インフレ時代への転換を意識しての質問だ。
シーゲル教授は、同プレミアムが過去3-4%だったと紹介する。
これに対して、足元の株式の期待リターンを目の子計算する。

「2019年PERは15倍程度だった。
PER 15倍とは、6-7%のインフレ調整後リターンにあたる。」

(シーゲル教授はかねてから、株式の長期リターンの予想に株式益回りを用いる。)
債券はほぼゼロ金利だから、株式プレミアムは従来の倍の水準まで拡大しているという。
これは歴史的な推移のなかで(下位から)80-90%の高い分位にあると話す。
相場が荒れてVIXが高いような状況では、株が下げて債券が買われる。
高VIXでは株式プレミアムは拡大するといい、シーゲル教授は今がピークに近いと見ている。
つまり、今は株式の方が債券より目立って有利になっているということだ。

シーゲル教授は、マイルド・インフレ時代(今すぐではない)の投資について、もう1つ重要なメッセージを述べている。
インフレ税を課そうとする政府と、投資家は似たようなポジションをとることができる。

レバレッジのかかったファンドが、うまくやっている限り、マイルドなインフレの中で好パフォーマンスを上げることを忘れてはいけない。
債務負担が低下するんだ。


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