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インフレ上昇期に株式はアンダーパフォーム:ブリッジウォーター
2021年6月11日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレベッカ・パターソン氏が、インフレが持続的になる可能性を指摘し、潜在的なドル安要因を勘案すべきと説いている。


株式全体について数十年遡り、20のインフレ上昇期を見てみると、株式は全体としてプラスのリターンを上げたが、平均以下だった。
つまり、アンダーパフォームした。

パターソン氏がCNBCで、株式がインフレ上昇期に平均以下のパフォーマンスしか上げないと話した。
一見よく知られた話と反するように響く。
パターソン氏によれば、特に「幅広いコモディティのバスケット、金、物価連動債」に対してアンダーパフォームしているのだという。
株式と債券の比較で株式が有利と話されることが多いが、投資先のユニバースはそれだけではないということだろう。

「このインフレが持続的か一過性かという問題から始めないといけない。
誰も確かなことはわからないはずだ。」

パターソン氏は、わからないからこそ、インフレが持続的である可能性を無視すべきでないと考えている。
大きな変化がいくつも起こっている環境で、自身のポートフォリオのインフレ・リスクに対する防御が十分かどうか自問すべきという。

「私たちがわかるのは、ブリッジウォーターがインフレ圧力を測定するのに用いている指標を見ると、40年で最高水準ということ。
もう1つわかるのは、グローバル化や労働者の交渉力低下など過去数十年趨勢的にインフレを押し下げていた多くの力が、変化しているかどうかはわからないまでも、明らかに疑問視されているということ。」

インフレが持続的かどうかは、結局のところ見てみないとわからない。
ただし、持続的になっても驚かないだけの理由があるということだ。

パターソン氏は、通貨(為替)について尋ねられ、通常の考え方を紹介している。

「20年間にわたってインフレは低く安定していて、そしてインフレが上昇した。
通常は循環的な改善がともなうものだ。
中央銀行が金融を引き締め、利回りが上昇し、通貨にも追い風になる。」

現在、ドル高を予想する人も、多くがこのロジックによっている。
抑制されていた名目金利が上昇し、実質金利が上昇し、ドルが買われるという連想だ。
この関係についても、パターソン氏はややサプライズのあるファクトを紹介している。

でも、必ずそうなってきたわけではない。
過去数十年では、インフレが上昇すると通貨が弱くなった。
実際、それが通常である傾向がある。

つまり、今回のインフレでドルが安くなる可能性である。
パターソン氏によれば、市場はインフレを織り込みつつあるが、まだ通貨にまでは及んでいないという。

みんなが意識すべきリスクは、インフレ上昇が続き、ボラティリティが上昇するのに、中央銀行が同じように対応しない場合、通貨のボラティリティに波及するリスクだ。
グローバル投資の投資家のリターンの大半は過去20年間、通貨でなく資産によるものだった。
今後はトータル・リターンについて両方を見ないといけなくなる。

長い間、ドル相場、特にドル円はかなり安定的に推移している。
そこそこ大きな変動はあっても、中央回帰するようなところがあった。
そうした安定期、たとえば米国株に投資する人は、あまり為替を気にしなくてもすんだのだろう。
しかし、思えば、かつてドル円相場は1ドル360円の固定相場だった。
1971年ニクソン・ショックにより下落を始め、プラザ合意を経て1980年代終わりのバブル期に120円代までドル安が進んだ。
米国株は確かに驚異的な投資リターンを上げてきたが、それでも大きな通貨安は無視できないインパクトを与えうるのだろう。


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