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アスワス・ダモダラン インフレ・リスク中の分散投資:アスワス・ダモダラン
2021年6月7日

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、米国株のメイン・シナリオとワースト・シナリオを紹介し、ポートフォリオ運用の注意点を教えている。


ある意味、私たちは異常な時代に生きている。
金利水準、特に米国債利回りは、この100年見なかった水準だ。
こうも金利が低いと、株式リターンはかつてよりはるかに低くなる。
問題はこれが一時的なものかであり、いつも考えるべき問題だ。

ダモダラン教授がFOX Businessで、低金利が株価を押し上げ、株価上昇が株式の将来リターンを引き下げたと解説した。
現状の米国株の6%未満の期待リターンは過去と比べ低水準にあると指摘したが、同時に低金利を見れば、低リターンでも「最善かもしれない」という。
言外に、低リターンを甘受すべきとの思いが滲む。

ダモダラン教授は今後のメイン・シナリオを語った。

実質経済成長による金利上昇は、市場にとってはるかに健全な結果を与える。・・・
経済成長が強く、金利上昇がゆっくりだと、市場は少なくとも下げず、少なくとも横ばいを続けるだろう。

株式市場は底堅いとし、さらなる上昇も否定しなかった。
一方で、それより実現可能性が低い、悪いシナリオも説明している。

「起こりうる最悪の結果は、金利は上昇するが、それが経済成長によるものではなくインフレによるものの場合だ。
歴史的に、インフレ上昇は株式にとってプラスではない。・・・
高インフレは将来のインフレに不確実性を与え、株式がそれを乗り越えるのは難しい。
ワースト・シナリオでは経済成長の前にインフレが戻り、インフレのために金利(上昇)が全体の経済回復を危険にさらしてしまう。」

おそらくダモダラン教授が想定するインフレ上昇は、そこそこ幅のある上昇を想定しているのだろう。
インフレ上昇が債券に不利だが株式に有利という話は、インフレ上昇が小幅の場合の話。
ある程度の幅のインフレになると、株式も債券もインフレに勝てなくなる

こう考えると、リフレ政策が効きすぎてしまうことのリスクは大きいことになる。
リフレ政策とはインフレを上昇させることで経済成長を目指す戦術だ。
自動的に「経済成長の前にインフレが戻」ることになる。
これが経済に悪影響を及ぼさないよう、インフレ上昇後もインフレに対応しない低金利政策を継続しようとする。

ダモダラン教授は、投資家へのアドバイスを求められ、分散投資の徹底を挙げている。

投資家はどの方向でもやりすぎてはいけない。
私は、1970年にうまくいったからといって、すべての財産を金や不動産に投資するようなバカなことはしない。
他の極端な例としては、若い、損失を出しているテクノロジー企業にすべて投資することもしない。・・・
セクター、価格決定力の異なる企業で分散することだ。

将来が予想できないことを認め、複数のシナリオに備えられるよう資産を選び分散投資をしておくべきとの奨めだ。
ダモダラン教授は、分散がかつてなく重要と話している。

ダモダラン教授は、ビットコインについても見解を求められている。
教授は以前、ビットコインがどのような資産クラスに分類されるべきか論じたことがある。
その結果は、ビットコインは通貨だが良い通貨ではなく、収集品だが寿命に疑問符が付く、というものだった。
現在、通貨として利用されているとはいいがたく、今のところ収集品というべきなのかもしれない。
収集品であるなら、ファンがいる限りいくらか価値の保蔵に役立つのかもしれない。

ダモダラン教授の評価は、ファクトに基づいた辛口のものだった。

私はビットコインに対し開かれた心をいつも維持しているし、これがミレニアル世代にとっての次の金になるかどうか考えようとしている。
その試金石となるのは、次の危機に(ビットコインが)どう振舞うかだ。
危機の間、価値を維持するとされている。・・・
2020年を振り返ると、ビットコインは収集品というよりはリスクの高い株式のような動きをした。


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