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ハワード・マークス インフレやドル下落も:ハワード・マークス
2020年6月3日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、コロナ・ショックに対処するための米金融・財政政策がインフレや米ドル安を引き起こすリスクがあるとして、信認の大切さを説いている。


だれも経験したことがない規模だから、何が起こるか分からない不透明さが強まる。
インフレ進行やドルの下落もあろう。

マークス氏が日本経済新聞のインタビューで、コロナ・ショックに対処するための米金融・財政政策の副作用について話した。

今回の米金融・財政政策は、その手法においても規模においても前例のないものとなった。
政府は債務を増やし、得た資金を実際に使っている。
一方で増えた債務はFRBが買い入れる構図となっているから、これは間接的なヘリコプター・マネーと言える。
これが何も引き起こさないと高をくくるのはあまりにも楽観的すぎる。
このマネーが金融経済に向かうなら資産価格の上昇(資産インフレ)と格差拡大となろうし、実体経済に向かうなら景気浮揚とインフレ(消費者物価上昇)圧力となろう。

米政府の財政赤字が記録的なものに膨らむと、海外投資家が米国債の購入に慎重になり、準備通貨としてのドルの信認が揺らぎかねない。
米国は日本と違って国内だけで国債を消化できない。
信認の問題は重要だ。

米国は経常赤字の国だ。
経常赤字でお金が足りない分を海外の資本で埋め合わせなければいけない。
逆に(特に過去の日中のように)経常黒字の国は、お金が余る分を海外で運用せざるを得ず、米国はその最大の受け皿となってきた。
外国の投資家が米資産に背を向ければ、米資産・米ドルは値を崩すことになるはずだが、そう簡単に起こることではない。
米国に投資するのをやめようとしても他に投資先はなく、たとえ見つけたとしても、その投資先から回り回って米国にお金が流れていくことになる。
新たな信頼のおける受け皿が現れない限り、そうそう米資産・米ドルが崩れるものではない。
逆にいえば、受け皿が現れれば、すでに米国債・米ドルの信認は相当に失われているのではないか。
マークス氏の指摘は、そうした危うい実態を暗示しているようにも読める。

マークス氏は投資について「FRBとけんかをするな」が基本になるという。
FRBプットが効いている限り売りは得策でないとしたものの、もちろんリスクも存在すると話している。

FRBが明確に経済を流動性の供給によって下支えする意思を示しているのだから、逆らって株式や債券を売る投資行動は賢明ではない。
・・・(一方で)
市場はやや楽観に傾きすぎているように見受けられる。


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