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インフレは来年第3四半期でも前年比3%超も:PIMCO
2021年11月11日

PIMCOのティファニー・ウィルディング氏らは、足元の高インフレが自然に収束するとのスタンスを継続しつつも、来年まで物価目標を超えるインフレが継続するとも述べている。


足元の高インフレは収束する可能性が高いとのFRBの見方に、PIMCOも同意していますが、収束するまでには当初の想定より時間がかかるとみています。
一時的な要因によるものであっても、高インフレの状態が長引けば、長期のインフレ期待も上方修正されるリスクが高まります。

ウィルディング氏らが投資家向けレポートで、足元の高インフレがじきに収束するとの見方を継続した。

FRBは現在の高インフレを「一過性」と説明してきた。
インフレが予想以上に居座ると、「一過性」の定義を長期化し、それに固執した。
それとともに、少数派だった長期化予想派が支持され、逆にFRBと同調した「一過性」派は少数となってきた。
結果、FRBが来年末から再来年初めとガイダンスする利上げ開始時期について、すでに市場は来年半ばと織り込んでいる。

インフレの長期化を予想し続けてきたのが、PIMCOをかつて率いたモハメド・エラリアン氏だ。
元CEOはある程度のインフレが居座ると予想し、現PIMCOは高インフレがじきに収まると予想した。
これまでのところは元CEOの側に軍配が上がっている。
冒頭の発言のとおり、ウィルディング氏らも、長期化を否めなくなっている。
同氏は、見方を変える要因となったイベントとして供給制約、化石燃料の逼迫などを挙げている。

これらの要因により、第4四半期の米国のインフレ率は再び年率5%以上に高まるものと予想されます。
PIMCOでは、こうした要因は一時的なものであり、インフレ率は2022年には落ち着くとの見方は変えていませんが、2022年の第3四半期にかけて前年比のインフレ率は3%超に押し上げられる可能性があります。

「2022年には落ち着く」としながら「3%超」の可能性とはかなりのインフレだ。
今年2021年の高インフレには一部ベース効果が存在した。
パンデミックが過酷だった前年の反動が入っていた。
来年2022年の「前年比」は、むしろ逆方向のベース効果が働くはずだ。
それでも前年比3%超がありうるところに米インフレの過酷さが表れている。
インフレ期待の変化を心配するのも無理もないのだろう。

仮に中間選挙のある来年インフレ率が2%より3%に近くなるなら、いつまで平均物価目標とかオーバーシュートとかいう言訳で済むだろうか。
高インフレは重い社会問題であり、人々は不満を募らせ、政治を動かすかもしれない。
政治が動けば、それが再び中央銀行を動かすのだろう。

ウィルディング氏らは、FRBが試練の時を迎えているという。
そこで興味深いのは、インフレがじきに収まると予想する同氏らは、金融政策のラグがいたずらをする可能性を指摘する。

FRB高官はインフレ期待が意図せず「急激に高まる」リスクを管理したいと考えているでしょうが、このリスクを、インフレが自然に収束するという最も蓋然性が高いシナリオと比較検討する必要があります。
金融政策は効果が表れるまでに時間がかかり、様々な遅れを伴うことから、早期の利上げに経済が適応し始める頃には、既にインフレが収束している可能性も否めません。

インフレが自然に収束するとはどのようなシナリオだろう。
景気拡大のまま収束するのか、それともインフレが収束するいつもの原因が発生するのか。
レポートの最後の一文が何かを暗示している。

金利上昇に対する市場の感応度により、中央銀行の金利見通しがゼロ下限から大きく離れることが再び妨げられる可能性があります。


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