『国家は破綻する』の著書でも有名なカーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ 両教授が政府債務増、インフレについて話している。
間違いなく私たちは政府がやっていることを強く支持している。
しかし、それをフリー・ランチであるかのようにアピールするのはひどく浅はかなことだ。
ラインハート教授が、コロナウィルス対策のための金融・財政政策についてコメントした。
両教授に対するBloombergによるインタビューでの発言。
両教授ともウィルス対策のために出し惜しみをしてはいけないとの見解である。
ただし、それは代償をともなわないという話ではない。
ラインハート教授は、今回の政策がフリー・ランチではないという。
しかし、コロナ・ショックは戦争のようなものであり、他に選択肢はなかったと振り返っている。
「みんな経済が25-30%縮小するという話をしている。
この下落が、何であれ債務負担のコストに比べて拡大している。」
経済は縮小し、債務は拡大している。
経済が抱える債務の重さは、額でも率でも重くなっている。
ラインハート教授は、結論こそ述べないものの、市場の楽観を心配する。
「金融市場は、金利上昇の可能性はないと考えている。
インフレ上昇の可能性はないと考えている。
市場が正しいなら、裏目が出ないなら、大丈夫ということになる。」
ラインハート教授は来月から世界銀行のチーフ・エコノミスト就任が決まっている。
かつてIMFのチーフ・エコノミストを務めたロゴフ教授は、もっと直接的な言及をしている。
教授は以前から米国の深刻な債務問題の可能性には否定的だ。
今回も欧州が火種になると話している。
世界金融危機ではまず銀行の危機が広がり、その数年後に国家債務の危機に転嫁した。
今回もそうした変遷が起こりうるという。
「もしもイタリアの経済成長にかかわる懸念を含むような後退があれば、今回再び焦点はコロナ・ショックから債務危機に移るだろう。
言ったように、前回の危機で最も大きな危機となった周辺国と比べ、イタリアの規模は大きい。
スペインも巻き込むかもしれない。」
世界のどこかでインフレ昂進が起こるのかとの問いに対し、ロゴフ教授は、どこで起こるかはわからないと答えている。
さらに、目先はまずデフレになるという。
でも、その終わりには脱グローバリゼーションによって極端なマイナスの生産性ショックを受けることになろう。
経済成長と生産性の観点でいえば、マイナスのショックが続き、需要が戻ってくるのだろう。
極めて低いインフレにつながる要因が多く存在するが、脱グローバリゼーションまたは労働者の権利が強化されるため、それら要因が後退するのだろう。
市場は再びインフレになる確率を本質的にゼロと見ているが、それは大間違いだ。