ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、米インフレのゆくえ、米国株の相対的魅力度について語っている。
信じられないくらい安定的なインフレの時代だった。
そして、本当に大きな疑問は、これが続くか、だ。
私は、間違いなく答はNoだと思う。
ガンドラック氏が年初のポッドキャストで、インフレ/ディスインフレのレジームが変化すると予想している。
ガンドラック氏は直前のCNBC出演で、5-6月に発表されるヘッドラインCPIが3%程度まで上昇すると予想していた。
ただし、これは前年が低いことによるベース効果で起こる短期的上昇を見込んだものだった。
ポッドキャストで議論しているのは趨勢的なインフレ傾向だ。
「現在は債務過多のためにデフレになっている。
多分ね。
将来は莫大な貨幣増発のためにインフレになる。
多分ね。」
ディスインフレかインフレか、確たる予想は難しい。
多くの人がコロナ後のインフレを予想しているように見えるが、米国でも日本のようにディスインフレ傾向が居座ると予想する人も皆無ではない。
ガンドラック氏は、コンセンサス通り、インフレを予想しているようだ。
私はディスインフレ傾向が続くとは考えていない。
この傾向は、これまでの、過去25年ほど経験してきた時代に続いて起こるものではない。
それでもガンドラック氏は片方のシナリオだけに賭けるやり方を採用しない。
ディスインフレとインフレの両方に配慮したバーベル・アプローチが有効と奨めている。
内容はCNBC出演時の紹介どおりだ:
- 新興国市場株式、特にアジアの新興国
- 現金: デフレへの備え
- 30年債など米長期国債: デフレへの備え
- 実物資産: 不動産、ビットコイン、金などで好きなもの
現金と長期国債がデフレ・リスクのヘッジ(ボラティリティ低減)となり、新興国市場株式と実物資産がインフレ・リスクのヘッジになるというものだ。
ガンドラック氏の推奨ポートフォリオに米国株は入っていない。
「株式が割高なのはみんな知っていることだ。
多くの指標で見て高い分位に入っており、ほぼすべての指標で米史上トップ10%に入っている。」
ガンドラック氏にとって米国株はあまりにも割高なのだ。
しかし、それは絶対的な意味の割高だ。
同氏は、最近ロバート・シラー教授が提案している「超過CAPE利回り」を米国株に応用している。
(ダブルラインはシラー教授と組んでCAPEレシオを用いた株式ファンドを運用しており、シラー教授とは親交がある。)
超過CAPE利回りとはCAPEベースの益回りの10年債実質利回りに対するイールド・スプレッドを指す。
この指標について歴史的水準と現状の水準を比べると、現状の米国株はまだ割安に見えるのだという。
1つ注意すべきは、債券との比較においては割高に見えないことだ。・・・
歴史的水準と比べて株式が割高であるにもかかわらず、債券もまた歴史的水準とインフレに対して極めて割高だ。
株が割高でも上がり続ける。
現在の市場の不条理を象徴するような算数だ。