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インフレと景気後退に向かう中での投資戦略:ブラックストーン

ブラックストーンのジョー・ザイドル氏が、経済・金融市場についてシナリオを提示し、投資へのインプリケーションを示している。
世界の投資家が関心を寄せる景気後退に向かう中での資産選択の1つの案を提示している。


イールド・カーブが2006年に長短逆転した時、強気派が住宅価格は決して落ちないと主張したために、景気後退が来ないように感じられた。
1998年に逆転した時は、テクノロジーが新たなパラダイムを生み出し、それが過去言われてきた景気サイクルを時代遅れにすると教えられた。
1989年に至っては逆転に喝采さえした: インフレは克服されたと。

ザイドル氏が10月の顧客向け書簡で、投資の最も重要な教訓「今回も違わない」(It’s not different this time.)を繰り返した。
現在の米債券市場を取り巻く環境に特殊要因があることを認めつつも、やはりイールド・カーブ逆転には警戒すべきと述べている。
以前のカーブ逆転でもやはりそれなりの特殊要因はあったのだ。
それでも毎回、強気の理屈を主張し続ける輩は存在するものなのだ。

では、ズバリいつ景気後退入りするのか。
ザイドル氏は、過去5回の景気後退入りに対しイールド・カーブ逆転が10-34か月先行したと、ただファクトを書いている。
幅がありすぎてあまり役に立たない豆知識だ。
ちなみに、10年-2年で見た長短逆転は8月下旬に見られたが、その後順ザヤに戻っている。

「収穫逓減の法則を考慮すべきだ。」

ザイドル氏は、各国中央銀行の金融政策の余地と効果について述べている。
前3回の金融緩和サイクルでFRBは5%以上の利下げを要したが、FF金利は今でさえもう2%以下だ。
日欧の中央銀行はさらに行き着いている。

世界中の金利はすでに5000年来の低水準だ。
協調的な金融緩和はもちろん金融資産には朗報だ。
しかし、現実には利下げが現時点で実質経済成長を刺激する兆しは見えない。
世界の金利はまもなく6000年来の低水準に下がるだろう。

現状を考えると、残る手段は口先介入と量的緩和になるとザイドル氏は予想する。
その後、FRB・ECBは日本と同様のイールド・カーブ・コントロール(YCC)を検討することになるだろうという。

「しかし(YCCは)うまくいっていない。
欧州が人口動態・生産性について日本と課題を共有していることを考えると、YCCが欧州で機能する根拠は少ない。」


こうしたいくつかのカギとなる予想を組み立てると、どのような将来予想になるのだろうか。
ザイドル氏が描くメイン・シナリオは
・成長鈍化
・物価上昇
・景気後退リスク上昇
いくらか1970年代と似た状況にあるという。
ザイドル氏は、1970年代の主要資産クラスのリターン(年率)を示している。

リターン(年率)出典: ジョー・ザイドル氏の月例書簡より浜町SCI作成
資産クラス 1970年代 長期平均
小型株 11%強 11%強
中期国債 7%程度 7%弱
Tビル 6%強 5%弱
長期社債 6%強 8%弱
大型株 6%弱 10%弱
長期国債 5%強 8%弱
インフレ 7%強 4%程度

単純にリターンの数字を見るのは必ずしも正しい見方ではない。
リターンだけでなくリスクも資産クラス間で異なるからだ。
今後1970年代が繰り返すと予想するなら、1970年代のリターンをベンチマーク(長期平均)と比較するなどすべきだ。

ザイドル氏は資産クラス選択へのインプリケーションを書いている。

「株式・債券は概して高インフレやスタグフレーションの期間、長期平均よりアンダーパフォームし、現環境でも同様の結果を予想する。
1970年代、成長力のある企業(大型株より小型株)、価格決定力のある資産(コモディティと不動産)が相対的にアウトパフォームした。」

(ザイドル氏は以前インフレ時代の資産クラス選択について解説している。
そちらもあわせて読むと、より理解が進むだろう。)

ザイドル氏は分の悪い資産クラスにも言及している。

ポートフォリオにおける最大のリスクは、デュレーションの長い債券と、成長が緩慢な銘柄・配当ねらいの投資商品など債券類似商品だ。


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