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インフレとスタグフレーションのプロセス:モハメド・エラリアン
2022年2月21日

アリアンツ経済顧問モハメド・エラリアン氏は、米スタグフレーションをテール・リスクとしながらも、その心配が高まりつつあると心配している。


(ウクライナを巡る)対立は、悪化すれば、それ自体が世界経済にとってとても強いスタグフレーション要因となるから、市場が注視すべき要因だ。
しかし、もう1つ・・・最も重要なアンカーが失われた点も重要だ。
長い間、市場はとても緩和的な流動性レジームというアンカーに繋がれてきた。

エラリアン氏がYahoo Financeで、ウクライナ問題よりFRB金融政策を心配する様子を見せた。
FRBが常に市場の望む流動性を供給してくれるという観念が、インフレ昂進とともに終わろうとしているという考えだ。
強い企業利益というアンカーこそ持ちこたえているが、流動性のアンカーが失われたことで市場がガタついているという。

エラリアン氏は、過去のインフレ局面がどう進行したか、1970年代を例に紹介している。

  1. システムに何かショックが及ぶ(70年代は石油危機)。
  2. インフレの範囲が拡大(今がココ)。
  3. インフレ期待が高くアンカーされる。

すでに起こったインフレに順応し、賃上げが要求され、値上げが行われる。
さらに先を見越して、賃上げ・値上げが進んでいく・・・
エラリアン氏は、FRBはこうしたスパイラルを避けるべきと注文する。

この3つ目の段階はファンダメンタルズが引き起こすのでなく、人の心が引き起こすインフレだ。
かつて世界がしつこいディスインフレ期待に悩まされたように、高インフレ期待も厄介なのは1970年代を知る人なら理解できるはずだ。
ここに至ってしまうと、大きなショックなしにはインフレ期待を引き戻せなくなる。
いうまでもなく前回これを経験したのがボルカー・ショックだった。
ポール・ボルカーFRB議長(当時)は高インフレに対し20%のFF金利で荒療治を行った。
それが1970年代からのスタグフレーションから脱出するのに必要だったからだ。

エラリアン氏はBloombergで、スタグフレーションの進行プロセスを解説している。

  1. FRBのインフレへの対処が過小。
  2. FRBがインフレ期待の制御を失う。
  3. インフレ期待のアンカーが大きく外れる。
  4. FRBが高インフレの中で急ブレーキを余儀なくされる。
  5. 経済・市場にインフレと景気鈍化のダブルパンチ。

エラリアン氏は、スタグフレーションについてあくまでテール・リスクとしてきた。
一方で、FRB高官がこのリスクについて全く言及しないことを危うんでいる。
タカ派にどんどんシフトしていくFRB、年6-7回の利上げを織り込んでいる市場について不安を露わにした。

もしも(今年)7回の利上げと量的引き締めがあれば、米経済は吸収しきれないと心から信じる。
米経済はとても長い間流動性注入と欠陥のある金利に慣らされてきて、これは多くの部分にとってあまりにも劇的な変化になってしまう。


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