インフレ、ドル安、金投資:ジェフリー・ガンドラック

ジェフリー・ガンドラック氏のNew York Magazineによるインタビューの第4弾。
インフレ、ドル安、金投資が語られている。


イールド・カーブ全体がインフレを下回っている。
前年同月比でコアCPIは2.2%、賃金上昇は2.4%だ。
平均時給の伸びは3%を超えている。

ガンドラック氏は、米物価目標を達成不可能とするナラティブが存在することに疑問を呈している。
PCEデフレーターを除けば、多くのインフレ指標が2%を超える状況にあるからだ。

実際のところ、物価という観点からみる限り、米経済はデフレ懸念・ディスインフレといった状況ではなくなってきている。
それでも、基調的にはまだデフレリスクがある、といった言い訳をして金融緩和を望む声は多い。

ガンドラック氏は、FRB内にも存在するハト派の関心の1つが財政にあると疑っている。

「このナラティブはFRBが引き締めを口にしない言い訳になっている。
FRBは、次の景気後退期に発行される債務を米市民が消化するのが完全に不可能であることをよく理解しているはずだ。
金利は今この水準にあり、FRBは債券利回りを操作する方法を見つけ出さないといけない。」

物価目標が2%であって、それがゴールであるとすれば、FRBは金融政策を中立的な水準まで戻すべきとなる。
FF金利はすでに中立金利の少し下あたりまで引き上げたものの、バランスシートはまだ膨れたままだ。
また、将来物価目標が達成できていたとしても、禁じ手のはずの、財政支援のための金融緩和が必要とされるかもしれない。
それをどう正当化できるのか。

ガンドラック氏は、物価目標の変質を指摘している。

かつて2%はインフレの上限であり、かつて2%はインフレの目標であり、今では2%はインフレの(希望的観測の)下限となった。
・・・
すでにそこ(3%)になっていると思う。
3%を心地よい水準と思っているだろう。
3%台半ばでもいいと考えているのだろう。

かつては2%以下だったのが、2%で上下に対称になり、2%以上になった。
物価水準目標やら(科学的根拠のはっきりしない)目標引き上げ法がさかんに議論されている。
こうした動きは、旧来の金融緩和の中心的目的ではない財政支援、資産価格上昇、通貨安導入に寄与するからいろいろな人たちに好都合だ。
かくしてハト派は通りやすい。

ガンドラック氏が注目するのは財政支援面だ。


「債券利回りをインフレより低くとどめようというアイデアなんだ。
金利の累積を避けようというものだ。
金利がインフレや経済成長率より高ければ、致命的な累積カーブに向かうのは明らかだ。」

通常の財政再建がいやだから、インフレで過剰債務の実質的負担を減らそうとしている。
増税がいやだから、立法の要らないインフレ税で財政に帳尻をつけようとしている。
もちろん、万策尽きたという話ならやむを得ないのだろうが、金持ちを助ける減税をやっているのだから、そういう話でもないのだろう。
万策尽きてやる場合、やはり注意すべきは、金利やインフレが制御しきれるかどうかわからないということだろう。

それはまさに7月にレイ・ダリオ氏が公表した論文のテーマでもあった。
この論文について、ガンドラック氏はこうコメントした。

そのシナリオではドルが下落する。
そのレイ・ダリオの論文は極めて論理的だ。
・・・
19.5兆ドルのGDPに対して未積立の負債が126兆ドルも存在する。
こうした負債がデフォルトまたは減額されることになるのは明らかだ。

ダリオ氏は、巨額財政赤字のために貨幣化、通貨安、大幅増税の組み合わせが求められることになると予想した。
インフレが望まれ、米ドルは弱くなり、債券の名目・実質リターンは低いかマイナスと予想した。
その上で、ポートフォリオに金を組み込むよう奨めている。

ガンドラック氏はダリオ氏の論文に賛同し、金や金鉱株に対して強気であるとコメントした。

金で留意すべきは、驚くべきことではないが、金価格の変動がマイナス利回りの債券の発行残高と高い相関を示してきたことだ。
16兆ドルのマイナス利回りの債券があると、16兆ドルを保有する投資家は、インカム・ゲインなしでも高い利回りのものに乗り換えたいと考える。
それが金だったんだ。
この金利の動きが続く限り、金は上がるだろう。

こんなことを書くと小躍りを始めるのが暗号資産村の村人たちだ。
ガンドラック氏はビットコインにもコメントしている。

「ビットコインは極めて投機的だ。・・・
ビットコインは5分で20%下落した。
価値の保存という観点でいえば、ただ、ばかげている。
5分でそんなに変動するものは通貨としては有用ではない。」

ガンドラック氏は、通貨としてダメ出ししたのであって、投機対象としてダメ出ししたわけではない。
むしろ先々、政府は関与を強め、取引を監視し、取引税を課すことになるだろうと予想している。


 - 海外経済, 投資, 政治 , , , , ,