米Research Affiliate(RA)が、インデックス投資にかかわる見えないコストについて昨年12月のS&P 500によるテスラ株採用を例に説明している。
S&P 500によるテスラ採用にともなうリバランスは、投資家にどれだけのコストを課したのか?
仮に、架空の投資家がテスラのリバランスを行わず、リバランス前の配分のS&P 500を保有していたら、リバランス後の6か月でリバランスされたS&P 500よりも41 bp上回っていたはずだ。
さらに、このリターン上の優位はそれだけでないだろう。
RAが自社ウェブサイトで、株価指数の銘柄入れ替えにともなうアンダーパフォームについて解説している。
昨年12月のS&P 500指数におけるAIVの除外・テスラ採用にともない、実に41 bpものアンダーパフォームが発生したというのだ。
RAによれば、インデックス・ファンドは完全なパッシブ運用ではないのだという。
どこにパッシブでない要素があるのだろう。
銘柄が追加されたり削除されたりし、採用銘柄が変わる度にリバランスの取引がなされる。
売買高は低いものの、一定のパターンに従って売買される:
インデックス・ファンドは系統的に、高く買って安く売る。
なぜ、インデックス・ファンド、あるいは株価指数は「高く買って安く売る」ことが多いのか。
S&P 500など時価総額加重型の株価指数では(ファンダメンタルズの示すバリューに比べ)割高の銘柄は効きすぎ、割安の銘柄は効かなさすぎとなる。
採用される銘柄は成長してきたから採用されるのだろうし、先を見越して買われるだろうから、割高になりがちだ。
除外される銘柄はM&Aや破綻などコーポレート・アクションに寄るものも多く、先を見越して売られるため、割安になることがある。
12月の入れ替えもこうした特徴が当てはまり、RAは半年前、AIVのロングとテスラのショートを推奨したのだという。
RAは、こうしたアンダーパフォームについて投資家は気づくことさえないという。
通常、株価指数の入れ替えの効果まで検証する投資家はほとんどいないからだ。
RAによれば、株価指数の設計を工夫することでこうした問題が回避できるという。
ただし、現時点でいえば、この問題は存在する。
皮肉にも、インデックス・ファンドの競争は、この数分の一のbpで行われている。
最も低コストのファンドは経費率ゼロでインデックスのポートフォリオ配分を提供している。
しかし、多くの投資家は、容易に経費率を越えうる、インデックス投資にかかわる隠れたコストを完全に無視している。