ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、コロナ後の経済の構造的変化、コロナ克服時に株式市場で起こるシフトを予想した。
「私の主張は、20年ぶりに穏やかなインフレとなり、一たびウィルスが収まりワクチン・治療法が出来れば、極めて強い経済がやってくるということだ。」
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、自身の強気スタンスを再度語った。
シーゲル教授は、前例のない大規模な財政・金融刺激策により、経済が回復し、市場も上昇すると予想する。
ただし、経済が回復する先は、コロナ前の経済ではないという。
ただし、(以前とは)とても異なる経済だ。
企業はレイオフした従業員なしでも成り立つことに気づき、多くは復帰できない。
大きな構造的失業が発生し、再吸収されるまで時間がかかる。
シーゲル教授は、経済と市場が別モノであると考えている。
構成する主体も違えば、時間軸にもずれがある。
教授が抱く経済回復のイメージは明らかにV字ではないが、それは株価がV字回復するのがおかしいことを意味しない。
シーゲル教授は、コロナ後の米国株市場について、バリューがグロースをアウトパフォームすると予想する。
理由は、投資家がある程度のインカム・ゲインを必要とするためだ。
来年または今年終わりにも配当株と、投資家が言い出すだろう。
『インカム・ゲインが必要だ。
利回り1%の米国債や1.5%の社債はダメだ。
固定利回りでインフレ・ヘッジもなく、アップサイドの可能性もない。』
シーゲル教授は、投資家がインカム・ゲインを求める源泉が、インフレ/デフレでシフトすると説明する。
- インフレなら株のインカム(配当)
- デフレなら債券のインカム(クーポン)
シーゲル教授は最近度々、40年に及んだ債券の強気相場がついに終わったと話している。
デフレ懸念による債券の時代が終わり、インフレ懸念による配当株の時代が来るという市場観なのだ。
そして、お人よしにも債券を持ち続ける投資家が、コロナ・ショックに費やされたコストを負担することになるのである。
シーゲル教授は、現在の状況を大戦後の経済ブームに似ていると話している。
その時にもこのシフトが起こった。
同じことが第2次大戦後の1950年代にも起こった。
インフレが上昇し、金利は極度に低く、みんなこのシフトを起こした。
ただし、これはコロナに勝利した時に起こるシナリオだ。
シーゲル教授は、それまでの一進一退の段階では、今までのようにシーソーのような状況が続くと予想している。
コロナ後とコロナ特需のシーソーだ。
ウィルスについて良いニュースがあるとバリューがアウトパフォームし、悪いニュースだとコンピューター株やNASDAQがアウトパフォームする。
過去3-4か月がそうだったが、今後もそうだろう。