アヒルじゃないから大丈夫:ピーター・シフ

ユーロパシフィック・キャピタルのピーター・シフ氏が、アヒルをスズメと言い張るFRBとその政策を痛切に批判している。


それがアヒルのように見え、アヒルのように歩き、アヒルのように鳴くなら、それはアヒルだ。

シフ氏が8日ツイートした。
この人の悪意あるレトリックは天下一品だ。

「パウエルFRB議長は、FRBのバランスシートが再拡大、正式なQEの最中よりも早く拡大しているのに、このより大きな債務拡大が正式な資産買入れプログラムでない、QE4でないと主張している。
まやかしだ。
加えて、標準的オペとしてのQEはより悪いものだ!」

8日ジェローム・パウエルFRB議長は、先月米短期金融市場で見られたような金利急騰を防ぐため、Tビル等の買入れを開始するとの意向を表明した。
あわせて、さらなる利下げの可能性も示唆した。
ただし、実施する資産買入れはQEの再開ではないとも強調している。

シフ氏が「まやかし」と批判するのはこの点だ。
非伝統的金融緩和に一貫して反対してきた同氏からすれば、非伝統的なQEも許しがたいものだった。
今ではQEはもはや非伝統的でなく標準的手順に格上げされているが、シフ氏はこれでいっそう悪さをすると警告しているのだ。

パウエルは、今FRBがやっていることがまさにQEと同じなのに、QEとは異なることと主張している。
FRBが公式にQEを実施している時、FRBは薄い大気からマネーを生み出し債務を買い入れることで債務を貨幣化した。
今FRBがやっているのも全くそれだ。
唯一違うのは、規模がもっと大きいことだ。

FRBバランスシート
FRBバランスシート


先月中旬、米レポ金利が急騰、FF金利が誘導目標から逸脱した後、FRBは大量の流動性供給により事態を収拾した。
これがFRBバランスシートを拡大させたが、シフ氏はこれを事実上のQE再開と批判した。
リバタリアン的なシフ氏の考え方からすれば、経済を意のままに操ろうとすること自体が間違いであり、また不可能となる。
ニュー・ケインジアンやリフレ派の考え方は、同氏の対極にあるものだ。

「もしもあなたが生活費の上昇が遅すぎると心配しているなら、パウエルFRB議長があなたの苦痛を聞いてくれる。
彼は、現在のインフレ率に満足していないと言っている。
インフレ率が2%に未達だった過去の年月の分まで取り戻すため、2%超まで引き上げたいと願っている。
あなたを助けようとしているんだ!」

シフ氏の強烈な皮肉、根拠の乏しい予想は続く。

「今後数か月のうちに、FRBのバランスシートは、FRBが量的引き締め(QT)をやる前につけたピーク4.5兆ドルを超えるだろう。
2020年のどこかでFRBのバランスシートは5兆ドルを超え、無限に増え続ける可能性が高い。
でも、心配は要らない。
これはQEじゃないのだから。」

そしていつもの結論に達する。
金融政策がバブルを生み、それが弾けるという、説得力はあるがとても定性的な結論だ。
シフ氏は雨の日も晴れの日もこれを言い続け、10年に一度ぐらいの周期で当てている。
まさに様式美である。

パウエルが何と主張しようが、私が予想したとおり、FRBがやっているのはQEだ。
目的は、債務や資産のバブルを持ちこたえさせるために金利を抑制することだ。
唯一の違いは、今回はそれが効かないことだ!


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