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アクティプ運用は怠惰で非効率:アスワス・ダモダラン

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、過去10年の投資環境を回顧し、今後10年の展望を語っている。


「過去10年は・・・株式にとってとても良い10年だったが、過去になかったというほどの良さではなかった。」

過去10年間の強気相場について印ETから尋ねられ、ダモダラン教授が答えた。
教授は過去10年間をそれ以前の8つの10年間と比較している。
すると、過去9回の10年間のうち、直近10年は4番目に良いのにすぎないという。

さらに今年については、あまり良い年にならない確率が高いという。
良い年、良い数年の後には、悪い年が来る確率が高いためだ。

「必ずしも翌年が悪い年になるという意味ではなく、また15、20、25%の年になる確率がとても低いということだ。」

ただし、市場が恐れる金利上昇については、ダモダラン教授はさほど心配していない様子だ。
現在の低金利が一時的なもので、いつか元に戻るとする考えは見直すべきかもしれないと話している。
特に理由を挙げていないが、過去を振り返るとそう思えてくるというレベルのことのようだ。

「私たちは、金利と大きなリスク・プレミアムのない時代が長く続く世界にいるのだろう。
これは2008年の危機の頃とは異なる世界だ。
現在の市場の現実を振り返れば、低金利が続くということだろう。」

仮に金利が上がることがあっても、冷静にその原因を自問すべきという。
成長率が改善した結果の金利上昇なら、金利上昇のマイナスを企業収益のプラスがオフセットするだろう。
インフレ上昇の結果の金利上昇なら、これは悪いニュースになる。
いずれの要因かを見極めて対処すべきと説いている。

投資家へのアドバイスを求められると、ダモダラン教授は極めて冷酷な現実を突きつける。

市場は投資家がとった適切なリスクに応じて報酬を与える。
無分別にリスクをとれば、市場で破壊されてしまう。・・・
完全な安全を求めるなら2-3%のリターンしかありえず、不平を言ってもしかたない。

もちろん日本人なら2-3%のリターンで大満足だろう。
しかし、これは円の話ではなく、おそらくドル建ての話だ。
ドルのリスク・フリー金利が2%程度の水準にあることを踏まえた発言だろう。
ドルは長い目で見れば安くなると見るのが自然な見方だし、円やユーロに比べてインフレも高いから、ドル建ての2-3%は日本人を含む外国人にとっても極めて魅力的とは言えないのかもしれない。
通常の投資家はインフレや税金さえカバーできないだろう。
そこで、より高い利回りを狙おうと考えることになる。

ある程度のリスクを許容する投資家についても、ダモダラン教授の推奨は極めて現実的だ。

もしも適切な銘柄を選択できないと思うなら、インデックス・ファンドを買い、投資分散することだ。
昨年や以前の年に良くなかった銘柄を物色するよりはるかに安全な戦略だ。
(単純な逆張りは)市場で儲ける戦略にはならない。

ダモダラン教授は、パッシブ・ファンドを奨めている。
アクティブ・ファンドのコストが高いことも1つだが、教授はもっと根本的な問題を指摘する。

アクティプ運用のほとんどは怠惰で非効率だ。・・・
率直に言って、私が彼らでイラつくのは、彼らにとっての仕事の定義が、有名な大企業を選び・・・モメンタムがさらに株価を上げてくれることを祈ることであることだ。

ダモダラン教授は、モメンタムが株価上昇の大きなドライバーであることは認めている。
しかし、それもいつか終わる。
モメンタム頼りの運用となっているアクティブ・ファンドが増えている中、それに高いフィーを払う意味はないと言う。

今後10年の有望セクターを尋ねられると、ダモダラン教授はグリーン・エネルギーとオンデマンド・サービス(物理的拠点で行われてきたサービスがオンラインになったもの)を挙げた。
さらに、グリーン・エネルギーの1つとして電気自動車を挙げている。

「誰が勝者になるかわからないが、6か月前にテスラ株を買った。」

10月以降テスラ株は倍に化けているから、大儲けだったのだろう。
ダモダラン教授は時々、大当たりした銘柄をポロっと口にする。
すばらしいタイミングでエントリーし、大きく上げていることが多い。
逆はないのかと疑いたくなるほどだ。


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