ジョセフ・スティグリッツ
 

アイルランドはEUの良くない一員:ジョセフ・スティグリッツ

ジョセフ・スティグリッツ教授が、安い税金で企業を誘致するアイルランドを批判している。
自国の利益のために他のヨーロッパ諸国に損害を与えていると糾弾している。


「税の分野ではアイルランドの振る舞いは、世界にとって、自国民にとって、あるいはEUの一員としてもよくない。
近隣から(税金を)奪うのは良い市民ではない。
アイルランドがやってきたのは、他のヨーロッパ諸国に行くはずだった税収をアイルランドに移転させ、そこから少額(の税)を徴収し、節税メリットを得るAppleを完ぺきに喜ばすことを大いに実行することだった。」

スティグリッツ教授がEUの中で突出して低い税率で企業を誘致するアイルランドを厳しく批判したとThe Irish Timesが伝えている。
教授はこれまでもAppleなど多国籍企業による租税回避行動を「詐欺」と呼んで非難してきた。
今回はそういう行動を積極的に手助けする国家に対し批判の矛先を向けたものだ。

「(節税分を)誰が払っているのか。
他のヨーロッパ諸国が払っているんだ。
こんなことを近隣、EUのパートナーにしてはいけない。
アイルランドは単に租税回避地であるだけでなく、EUの良くない一員だ。」

スティグリッツ教授の批判はどこまでも正論だ。
企業はアイルランドに(かなり形式的な)拠点を設けることで、節税だけでなく、ユーロ圏へのアクセスも得ることになる。
アイルランドのような産業誘致策は、他の国が応戦すれば底辺への競争に発展しかねない。
そうした点を心配し、ドイツなどは法人税の税率に下限を設けるよう提案している。

要は何事もイコール・フッティングということなのだが、この問題の根は深い。
法人税の税率を揃えたところで、様々な控除で差をつけることもできるし、個人の所得税で優遇する手もある。
補助金や公共支出でも優遇は可能だ。
金融政策や通貨安誘導という手もある。
果ては、規制緩和などの構造改革でも国家間の有利不利は生じうる。

また「イコール」がいいわけでもない。
世界第2位の経済になった中国には先進国なみのルールを守ってもらうべきだろうが、途上国にそれを求めることは明らかに酷だ。

ただ1つ言えることは、いろいろなところでアンフェアに自国の有利な状況を生み出そうとする先進国が少なからず存在するということだろう。


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