もはや単一銀行モデルは役に立たない:ナラヤナ・コチャラコタ

ナラヤナ・コチャラコタ前ミネアポリス連銀総裁が、先週の米短期金利急騰について危機感を示した。
銀行システムに存在する流動性は、多くが流動性を失っている可能性があるという。


「イベントの集中(法人税納期と大きな米国債入札決済)が突然で過酷な準備預金の不足を引き起こした。
結果、金利が同じであるはずの市場で、金利が急激に分断された。
レポ市場では・・・5%を超え、FF市場では2.00-2.25%だったFRBの誘導目標の上限を超える違反となった。」

コチャラコタ氏がBloombergで、16-17日に起こった短期金利急騰について書いている。
同氏はFRBの能力に信頼を寄せつつ、金融システムに何か間違いが生じている兆しではないかと懸念している。

コチャラコタ氏は、これまで銀行システムが「単一銀行モデル」でよく説明できていたという。
銀行システムには実際には多数の銀行が存在するが、それをまとめて「1つの大きな銀行」と考えるモデルだ。
その銀行は大きく2つの投融資の選択肢があるという。

  • FRBに預金し超過準備につく金利を稼ぐ。
  • 証券・貸出へ回し、より多くのリターンを狙う。

しかし、効率市場を仮定すれば、あらゆる投資は同一のリスク調整後リターンとなる。
つまり、FRBに預金しても、証券・貸出に回しても、リスク調整後では同じリターンとなる。


「この世界では、すべての資産は同じ『リスク調整後』リターンを生む。
FRBはその超過準備への付利を設定することでリスク調整後リターンを有効に決めることができる。」

たった1つの政策金利(超過準備への付利)を操作するだけで、津々浦々の投資対象に影響を及ぼすことができるわけだ。

そこで「単一銀行モデル」を「2銀行モデル」に拡張してみる。
「2銀行モデル」では、キャッシュを豊富に持つジャブジャブ銀行と、少ししか持たないキツキツ銀行が存在するとする。
それでも結果は大差ない。
レポ市場やFF市場が機能している限り、ジャブジャブ銀行からキツキツ銀行に融通できるからだ。
つまり、このケースでも、「単一銀行モデル」と同じ、円滑な金融政策が実行可能なのである。

しかし、最近数日、自由に融通できるという重要な条件が成り立っていなかった。

コチャラコタ氏は、直接的に原因とは書かないものの、リーマン危機後の金融規制のうち流動性やレバレッジにかかわる新規制が、短期金融市場に影響を及ぼしている可能性を示唆している。
市場の目詰まりを取り除くため、規制の見直しを求めている。

予想が難しいのは、短期金融市場が将来のショックにどう反応するかだ。
過去数週間の経験が示したように、単純な単一銀行モデルはもはや役に立たない。
準備預金はじゃぶじゃぶ銀行に滞留し、金融システムは実際の1.3兆ドルの超過準備ではなく、13億ドルしかないかのように振舞っている。


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