もっと下落するなら金融危機の再来も:ロバート・シラー

ロバート・シラー教授が、米住宅価格の鈍化・下落への心配を語った。
さらに下落が続くようならサブプライム/リーマン危機の再来が心配されるようになるという。


「インフレと失業率の関係は有名、経済学で最も有名な関係だ。
これがもっと信頼性の高いものだったらと思うよ。
A.W.フィリップスの初期の論文を見ると、あまりよくフィットしていない。」

シラー教授がBloombergでユーモアたっぷりに語った。
フィリップス曲線の両軸をなす雇用と物価はトレードオフの関係にあるとこの曲線は主張している。
雇用(低い失業率)をとれば物価が上がり、物価(低いインフレ)をとれば雇用が悪化する。
だからこそ、この2つがFRBにデュアル・マンデートとして課されているのだ。
しかし、最近特にそのフィリップス曲線の評判が悪い。
失業率が下がっても一向にインフレが上がらない。
インフレがすべてと考える人は焦り、リフレを疑問視する人は怒る。

「何かインフレ期待の形成に関係しているんだろう。
中央銀行がいつも強調するような物価目標のために設計されたものではないのかもしれない。
だから、インフレは2%のままなんだ。」

パウエルFRB議長が議会証言で公的債務への懸念を述べたことについて、シラー教授は賛意を示した。
米国における債務に対するモラルが低下していると指摘した。


「長い間債務を増やすことはできるし、人々は何が起こっているか理解しないだろう。
得られる恩恵はすべて借りものなんだ。
トーマス・ジェファーソンの時代を思い出せば、人々は『債務の安定を図らなければならない』と言っていた。
そうした見方を私たちは失っており、とても不幸なことだ。」

シラー教授はパウエル議長に賛成しながらも、一義的な当事者が議会であるとし、やや悲観的なニュアンスを示した。

シラー教授は足元の米経済について「順調に成長している」と評価している。
一方で、高値感のある住宅市場・株式市場にはリスクを感じざるをえないという。
景気循環の周期が長期化している可能性があるとしながら、それでも景気が長く続けば、人々の心理は慎重になると心配する。

「一たび記録的期間を抜けると、景気後退がいつ来てもおかしくないと考えられるようになる。
最長の強気相場を更新した時の株式市場のようなものだ。
みんなこのことに敏感になっていて、景気後退がやってくることになるのかもしれない。」

シラー教授は、S&Pケース・シラー住宅価格指数が鈍化・下落を始めた点を心配する。
季節調整後でサンディエゴ、サンフランシスコ、シアトルで下落し、他の都市も横ばい圏だ。
史上三番目の住宅ブームが終焉を迎えつつあるのかもしれない。
これが前回のバブル崩壊を思い出させるようだ。

住宅市場はペースが崩れたように見える。
もしももっと下落するようなら、金融危機の記憶がよみがえることになる。


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