海外経済

もうほとんど後がない:ケネス・ロゴフ
2020年5月1日

ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授が、FRBの現在の政策手段、残された手段についてコメントしている。


FRBのアプローチは少し異なる。
どこまで民間・地方自治体のクレジットを保証するかだ。
すぐできるならすばらしい。
でも長引くようなら、そうなる可能性はかなり高いが、この方法は機能しない。

ロゴフ教授がCNBCで、最近のFRBの金融政策についてコメントした。
3月15日の緊急FOMCでFF金利誘導目標は0.00-0.25%とされた。
もはやFRBにも利下げ余地は残っていない。
その後のFRBの政策は金融緩和というよりは信用補完に重点を移している。
ロゴフ教授は、このやり方がうまくいく保証は何もないと心配しているのだ。

ロゴフ教授は、金融緩和を安易にあきらめるべきでないと考えているようだ。

他のやり方は、私はマイナス金利だと思う。
しかし、そうなるかはわからない。

日欧でのマイナス金利政策が必ずしもうまくいったように見えないことから、米国では同政策に対する否定的な見方が強い。
パウエルFRB議長も度々、マイナス金利は選択肢でないと示唆してきた。
それでも、ロゴフ教授は、この手段を簡単にあきらめるべきでないと主張する。

彼ら(日欧)は本格的なマイナス金利政策をとっていないし、準備もできていない。

ロゴフ教授が念頭に置くマイナス金利政策とは、これまでの日欧の政策金利よりはるかに深く金利をマイナス圏に沈めるやり方だ。
政策金利を-3%、-4%まで引き下げることができれば、同政策ははるかに効果を発揮すると考えているのだ。
しかし、そこまで利下げするにはタンス預金を防ぐ手立てが必要になる。
大きなマイナス金利を避けるため、みんなゼロ金利のタンス預金を始めることが予想されるためだ。
これを避けるには、通貨の電子化等の準備が必要だ。
ところが、それが整っていない。

ロゴフ教授は、この不人気な政策手段を推す理由にわずかに触れている。

これは少なくとも市場に基づくメカニズムだ。

現在FRBが実施している、リスクを度外視した資産買入れ・貸出は、市場メカニズムとは異なる論理で実行されている。
これがモラル・ハザードを生んでいるとの批判も多い。
これに対して、利下げの延長であるマイナス金利であれば、この要因は軽減されるのかもしれない。

ロゴフ教授は、マイナス金利政策の実現が難しいことを覚悟している。
そして、現行の金融政策で問題が解決しない場合、もはや後がないことを心配している。

今は経済全体で大きなリストラが予想され、やれる状況ではない。
もしも素早い回復が実現せず、債務市場ですべてを保証するほかに何かしなければ、大きな問題を抱えることになる。


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