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まだ織り込んでいない5-6%インフレ:モハメド・エラリアン
2021年12月14日

アリアンツ経済顧問のモハメド・エラリアン氏は、14-15日のFOMCを前に、インフレ論争について《勝利宣言》ともとれる発言をしている。


インフレがピークを打ったとは思わない。・・・
しばらくこの水準にインフレがとどまるだろう。

エラリアン氏がCBS Newsで、まだ数か月は現状の高インフレが居座るだろうとの見通しを語った。
今回のインフレ上昇をもたらした原因は需給両面に存在する。
供給制約について力が弱まっていることはエラリアン氏も認めている。
しかし、その一方で他のインフレの種が蒔かれ続けていると同氏は指摘する。

「FRBが今すべきなのはアクセルに乗せた足を緩めることだ。
こんなに多くの流動性を注入すべき理由はない。
アメリカ人が家を買えないような価格になっている時に、どうして住宅市場を刺激しなければならないのか。」

量的緩和、とりわけMBS買入れについて疑問を投げかけている。
FRBはすでにテーパリング(買入れ縮小)を開始しているが、逆にいえば、まだ買い入れている段階だ。
エラリアン氏は、今アクセルを踏み続ければ、後で急ブレーキを踏まざるをえなくなる点を心配する。
また、インフレは人々から購買力を奪い、特に貧しい人々を困窮させると話す。

政府と中央銀行の協調的な財政・金融政策は短期的に需要面に作用し、強力な景気刺激策となりえるが、同時にインフレも押し上げてしまう。
エラリアン氏の批判の的は、政府には向かわず、専らFRBに向かっている。
政府がもくろむインフラ支出については、人的資本の整備・気候変動対策の観点から進めるべきと話す。
特に前者は労働参加率の向上を通し(中長期的に)インフレを抑制する方向に働くとした。

米インフレについては1970年代の再来を心配する声も聞かれるが、エラリアン氏は否定的だ。
供給ショックがきっかけである点は似ているが、現状2桁インフレを心配するような状況にはないためだ。

5-6%水準で高止まりするリスクを冒している。
これは経済・市場が織り込んでいるよりかなり高く、注意が必要だ。

5-6%という数字は日本人から見ればとんでもなく高い。
しかし、それも賃金上昇との比較で見なければいけない。
実は、ここにはもう1つ重要な変数があるように思われる。
それは、リスク資産のリターンの水準だ。
今回のパンデミックによる労働者不足では、早く引退を決めた人、まだ若いが労働市場に戻ろうとしていない人の存在があるという。
これらの人の判断には、例えば米国株投資の高いリターンが寄与したかもしれない。
今後、リターンの水準が低減すれば、あるいは場合によってはマイナスに転じれば、5-6%はもちろん、2%でも高すぎるインフレと感じられるようになるのかもしれない。
若い人たちは労働市場に戻ればよいが、引退した人たちには厳しい世の中になるのだろうし、おそらく政治に何らかの作用を及ぼすだろう。

実はこのインタビュー、全米で極めて高い注目を浴びた。
主要メディアを始め、多くのメディアが引用した。
いわばエラリアン氏の勝利宣言とも言うべき発言なのだが、その部分を太字で紹介しよう。

このインフレの性格が一過性とするのは、おそらくFRBの歴史の中で最悪のインフレ見通しだ
これは高い確率で政策の誤りを引き起こす。
FRBは今週から機敏にインフレのナラティブに対するコントロールを取り戻さないといけない。
さもないと、インフレ期待を上昇させ、それが自分たちに跳ね返ってくるだろう。


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