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まだ心配するほどの下げじゃない:ローレンス・サマーズ
2020年9月6日

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、市場や財政について総じて楽天的な見通しを語っている。


ボブ・ルービン(*)がクリントン政権のみんなに言った有名な言葉がある。
『市場とは上がったり下がったりするものだ。』
たとえ市場の先行きであっても、わずか数日の動きから深い内容を判断するのは間違いだ。
過去数日が歴史的な出来事と記憶されるなら、私はとても驚くだろう。

* サマーズ氏が財務次官時代に仕えた財務長官

サマーズ氏がBloombergで、米市場の3-4日の下落についてコメントした。
バブル崩壊と騒ぐのはあまりにも早いと言いたいのだ。

20代半ばの息子が昨日メールをしてきた。
『ひどい調整だ、父さん』
私は返した。
『お前の若い人生の基準から言えばね。』

実際のところ、3日の下げは3.51%、4日の下げは0.81%にすぎない。
過去のバブル崩壊・暴落と比べればまったく軽微なものだ。
最近のメディアには、何が何でも市場に落ちてもらいたいかのような雰囲気さえ漂っている。

サマーズ氏は、テクノロジー・セクターでバブルが発生しているのではないかとの問いにも冷静に答えている。

2000年にはpets.comの話をしていただろう。・・・
現在のテック企業の状況は2000年とは全く違うものに見える。
PERを見ても、2000年のテクノロジー・セクターが成層圏にあったのとは異なる。

この指摘も全く正しい指摘だ。
2000年のドットコム・バブルでは、利益を上げていない、その見込みさえない企業に莫大な値付けがされていた。
今のテクノロジー・セクターにも個別の銘柄の中に過大な株価と思われるものはもちろんある。
しかし、総じていえば、高い値付けをされている企業には相応の収益力、あるいはそこそこ信じるに足る潜在力が備わっている。
割高であるかもしれないが、過去のバブルほどの割高さではない。

ただし、サマーズ氏はバブルというテーマについてやや楽観に寄る傾向がなくもない。
住宅バブルが醸成中だった2005年のジャクソンホール・シンポジウムで、当時IMFチーフ・エコノミストだったラグラム・ラジャン現シカゴ大学教授はバブルを警告した。
多くの人は取り合うことをせず、サマーズ氏も、過剰などどこにもない、とバブル説を一蹴している。
バブル後になると、ラジャン教授と同調していたというニュアンスで話しているから曲者だ。

サマーズ氏の楽観は財政問題にも及ぶ。

議会予算局の報告を読んで、以前より少し財政危機への心配が和らぎ、もう少し経済のための財政政策に集中するようになった。・・・
CBOの報告では、債務対GDP比率が今後2-3年、2023-30年にかけてゆっくりと上昇すると見込まれている。・・・
急上昇せず、基本的に横ばいだ。・・・
実質金利は今やマイナスで、借金を持つのははるかにたやすくなっている。

趨勢的停滞により超低金利が実現しているとし、そのメリットを活用すべきと説いている。
実行すべき財政政策がまだ多くあるという思い、民主党が勝った時に財政上の制約を抱えたくないという牽制があるのだろう。

バイデン氏が大統領選になって、民主党が政権を獲ったら市場にどういう影響が及ぶのだろう。
増税は株価にマイナスだろうが、金融政策や歳出の面ではかなり拡張的な政策採られプラスとなるのではないか。


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