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ウォール街 ますます増える破滅的な投資家の行動:ポール・シンガー
2021年12月9日

エリオット・マネジメントのポール・シンガー氏は、資産価格が歴史的高水準まで上昇した主因を説明し、今投資家が行うべきことを説いている。


市場のいたるところでリスクが積み上がっているが、多くは目に見えない。・・・
しかし、驚くことに、現在リスクテイクを増やそうとする大手投資家(年金、大学基金、慈善財団のような社会的に重要な機関を含む)が世界中でますます増えている。
これはそうした投資家、顧客の資金、幅広い公開市場の安定にとって破滅的な示唆を含んでいる。

シンガー氏がFTへの寄稿で、市場でのリスクの高まりを警告している。
同氏は、市場のリスクが史上最高かそれに近いところにあるといい、主たる理由を2つ挙げた。

  • 運用者の側の「ベンチマーキング」:
    運用者が自身の投資パフォーマンスを株価指数などのベンチ―マークとの比較で行うと、価格が上昇してもリスクを取り続けざるをえなくなる。
    むしろ、上がっているからさらにオーバーウェイトしようという誘惑に駆られてしまう。
  • 金融・財政政策により資産価格の下支え:
    FRBプットを信じる投資家は「ほとんど何でもリスク資産を買い、最近の流行に乗っかり、投資余力を増やすためにレバレッジを最大にし、『押し目買い』を増やす」ことで実際に儲けてきた。
    政策サポートが続く限りは儲かるだろうし、サポートは続くと信じているように見える。
    結果、本来の「リスクカーブから離れる」状況にあるという。

これらの要因にもかかわらず、シンガー氏は、市場が大きく下落する可能性を指摘する。

「最終的には、インフレ上昇、金利上昇、または予想できない何らかの転換により株式・債券市場は大きく下落する可能性がある。
おそらく、予見できない順序で起こるだろう。」

ベンチマーキングがなくなるかどうかは疑問だが、政策による下支えはいつまでも持続しないとシンガー氏は考えているようだ。
意思の問題でなく、残された能力の問題であるようだ。

政府が資産価格を次の停滞期から守る能力はかつてないほど限られている。
価格を押し上げるために各国中央銀行が買い入れてきた世界中で30兆ドルに上る株式・債券は、巨大な過剰となっている。
インフレが上昇すれば、政策決定者は将来の停滞期にインフレ圧力のさらなる悪化なしに資産価格を支える能力の限界に達するだろう。

シンガー氏が将来の資産価格下落の原因の一番手に挙げたのはインフレだ。
過度なインフレが続けば、インフレを助長する金融緩和は選択しにくくなる。
また、インフレにつれて金利が上昇すれば、財政政策の余地が小さくなり、中央銀行の財務も傷む。
インフレと景気後退の共存(スタグフレーション)が恐ろしいのはこのためだ。

シンガー氏は、政策による下支えを信じ続けるべきでないと警告している。

これらすべてを勘案すると、それ以外では冷静な多くの資金運用者が、次のクラッシュや危機において長年のキャピタルゲインを失うことなくある程度のリターンを上げる方法を模索するのでなく、よりリスクの高い資産への配分を増やしているのは奇妙だ。
政策が保有資産の価格を守ってくれるだろうと頼りリスク水準を高めた投資家は、政府のオーケストラがついに演奏をやめる時、重大でおそらく長く引きずる打撃に苦しむことだろう。


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