グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏が、足元の景況感・市場心理の改善に慎重なスタンスを示している。
FRBが景気拡大の延長に成功した今、私のクレジット市場に対する考えは、スプレッドがタイトになる過程に参加するのは難しいというものだ。
資産保全を図り、チャンスを待つべきだ。
マイナード氏が17日、景気後退懸念の後退を認めるツイートをした。
グッゲンハイムは10月まで2020年半ばまでの景気後退入りを予想していた。
しかし、11月からはそのリスクが薄れていくと、見方の変更を匂わせていた。
そもそも来年半ばまでの景気後退入り予想は、市場関係者の中ではかなり悲観的なサイドにあった。
それが(市場の大勢とともに)より楽観的なサイドにシフトしたようだ。
景況感が楽観サイドへシフトすると同時に、米国株市場は史上最高値を試し続けている。
同様、ハイイールド市場なども買われている。
リスクフリー金利が下げ止まった中で、クレジットのスプレッドが縮小している。
マイナード氏は、クレジット市場を買うべきでないという。
スプレッドが拡大(≒価格が下落)するのを待つべきと考えている。
サイクルの現時点における疑問とは、なぜこの水準で買わないのか、ではない。
なぜ売らないのか、であるべきだ。
マイナード氏は、景気拡大の延長を必ずしも好感していない。
価格上昇を好機ととらえ、投資のExitを図るべきと奨めている。
すでに、イス取りゲームは始まっているのだ。
マイナード氏は、景気拡大の延長によって、むしろ、経済を害するようなバブル的な投資行動が増えると懸念している。
中央銀行がシステムに流動性を送り込み続ける限り、莫大な不適切投資、M&Aや不動産のブーム、そしてデュレーションの長い資産への大きな投資意欲が見られ続けるだろう。
マイナード氏は、明示的にこれら現象が将来問題に発展すると言っているわけではない。
しかし、こうして挙げる以上は、相応のリスクを見ているのであろう。
そのリスクとは何なのか想像しておこう。
- 不適切投資: 不採算の事業の閉鎖、固定資産の償却。
- M&Aブーム: のれん等の消却発生。
- 不動産ブーム: 不動産投資家の財政悪化、金融の引き締まり。
- デュレーションの長い資産への投資意欲: 長期債が金利上昇で下落。
目新しいことは何もない。
いつもの景気後退時の風景にすぎない。
ただ、景気拡大が人為的に延長されるということは(足元では喜ばしいことかもしれないが)こうした将来の傷も深まるということなのだろう。