どこにも逃げ場はない:ロバート・シラー

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、米国株・米国債・住宅などほとんどの資産価格が割高に見えると警告している。


どこにも逃げ場はない。
乗り切るしかない。
価格が下落すると予想されても、投資を続けることになる。

シラー教授がロサンジェルスで広範な資産クラスにわたる弱気相場への危機感を口にしたとロシア国営RTが伝えている。
RTにかかると、あの思慮深いシラー教授の発言があたかもピーター・シフ氏と同じような不吉な響きを持って伝えられるから驚きだ。
他国の不幸が自国の幸福になるわけでもなかろうし、不思議な現象だ。

RTが切り取った重要発言の中核はこうだ。

至るところにバブルがある。
下落する状況にあるのに、多く保有するがゆえに持ち続けなければいけない。
選択の余地はない。

世界には莫大な富が存在する。
これを現金を含め何らかの資産クラスに投じておかざるをえない。
しかし、今、ほとんどの資産クラスで持続可能か疑わしい高値がついている。
どこにも安全資産が見つからない。
もちろん相対的には安全な資産もあるのだろう。
しかし、そうした資産も、買いが集まり(中長期的に見て)割高になってしまえば、もはや安全とは言えなくなる。

さらに厄介なのは、資産クラス間の相関関係の変化により、従来ほど分散投資が効かなくなっているように思われる点だ。
これは、ジェフリー・ガンドラック氏、アスワス・ダモダラン教授モハメド・エラリアン氏など多くの投資家・学者が指摘している。


代表的な資産クラスである米国株。
シラー教授は今後30年間の米国株の期待リターン(年率)は4.4%程度と予想する。
これはCAPMを念頭においてもかなり低く感じられる水準だ。
仮に米長期金利を1.8%、株式リスク・プレミアムを3%と見ても、CAPMで計算される期待リターンは4.8%となる。
もちろん、低く予想されているのはスタート台(現株価)が高いと考えられるからだ。
8月のシラーCAPEレシオは28.95倍。
これは、2000年のドットコム・バブル、1929年の大暴落直前に次ぐ高さだ。

もっとも、本当に恐ろしいのは株価ではないのかもしれない。
すべてのバブルの背景にある金利・債券のバブルこそが最大の恐怖だろう。
思えば、2008年1月・10月の株価下落は、理由は違えど金利上昇観測が引き金を引いたものだ。

(債券バブルが)十分な注意を怠った人々に関係するようなら、簡単な論理だ。・・・
この状況は持続不可能で、悪い終わり方をするだろう。・・・
いつか問題が顕在化する。

最近、アラン・グリーンスパン元FRB議長が債券バブルを警告している。
今、一生懸命これを否定しようとする人がいる。
ある人は財政拡大を主張したためであり、ある人は市場に対して強気の見通しを述べたいためだ。
現状が趨勢的停滞にあるなら、現状の低金利もかなり持続するというのである。
どちらの見方が正しいかは、じきに明らかになるのだろう。

シラー教授は、住宅価格についてもよくない変化が見えると警告している。

2005年の再来だ。・・・
サンフランシスコやロサンジェルスはすでに鈍化している。
・・・これは良くない兆候だ。


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