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すばらしい経済がやってくる:ジェレミー・シーゲル

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、経済の再始動が近づきつつあるとし、再始動後の支出ブームとインフレを予想している。


ワクチン接種は百万回に達し、スタートこそ焦点が定まらず最悪だったが、展開の状況は改善し始めている。
百万を超え、早急にワクチンを必要とする人たちのほとんどに届きつつある。
2回目の接種を受ければ、パンデミック前の生活に戻れるようになるだろう。

シーゲル教授がウォートン・ビジネス・ラジオで、自身の強気シナリオどおりの展開が起こりつつあると説明している。
教授は、コロナ・ショックが起こった時も、市場が先にある回復を見るものだとして、強気スタンスを崩さなかった。
そして、ついに《先にある回復》が近くなってきたとの感覚を持ち始めている。
ワクチンという、何よりも説得力の高い材料が、それをもたらしている。

シーゲル教授は強気派であり、かつ、インフレ予想派だ。
インフレを予想する理由として(供給面には両方の要素があるものの)需要面が強く効いてくると主張する。
需要を押し上げるのが、財政・金融政策と長く続いた行動規制だ。

第2次大戦後のようなことが起こる。
(大戦当時)戦時体制下の配給だったため(貯蓄の)積み上がりが起こったが、(戦後)配給が終わると、みんな支出を始め、価格を押し上げ、戦後のインフレーションを生み出した。

さらに興味深いのは、インフレに対するシーゲル教授の感じ方だ。

「需要増はインフレを意味する。
供給も増大するが、賃金も上昇し、需要も増大し、物価が上昇する。
すばらしい経済だ。
インフレを悲惨なネガティブなことと捉えるべきではない。
インフレの初期は実際、強い経済成長を促進するんだ。」

ここからうかがわれる1つ目は、インフレがある局面で「悲惨なネガティブなこと」になりうると認めている点。
リフレ派の本丸である米国でも(当然ながら)インフレは常に良いモノと考えられているわけではない。
物価目標を大きくオーバーシュートするようになれば、逆に忌むべきものとなる。
その場合、金融政策等は反転を強いられ、市場は大きな打撃を受けるだろう。

2つ目のことは、シーゲル教授が語った良いサイクルにはもう少し細かな前提が必要になるということ。
「賃金が上昇し、需要も増大」するためには、インフレをカバーする賃金上昇が必要だ。
粗い指標でいえば、実質賃金の上昇が必要だ。
それが実現しないと、日本のように、実感と反する経済回復に終わり、人々の不満が高まってしまう。

シーゲル教授は、インフレ・ヘッジのための工夫について尋ねられ、至極オーソドックスな答を返している。

私は前に金を推奨したが、ビットコインに流れ、このところ期待外れになっているものの、いつかは追いつくだろう。
工業用コモディティを含むすべてのコモディティ、それを反映する新興国は、2021年望ましい株式市場投資(ママ)となるだろう。

また、インフレ予想に関連して、米長期金利の予想についても話している。
あわせて、従前どおり、債券への弱気スタンスを滲ませた。

年末に2%まで上昇するだろう。
コンセンサスは1.4-1.5%だと思うが、それよりかなり高い予想だ。
強い経済とインフレのため、債券から引いておこうと考える債券保有者が増えるはずだ。


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