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グッゲンハイム スコット・マイナード これは永遠に居座る:スコット・マイナード

グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏が、米政府・FRBによる対コロナ政策が及ぼす変化についてコメントしている。


経済が第3四半期にV字回復で加速し、パンデミック前のGDP水準まで戻ると考えるのは現実的でない。
経済が1月と同水準の活動に回復するには4年ほどかかるだろう。

マイナード氏が自社ウェブサイトで、コロナ・ショックからの回復がL字回復となると予想した。
回復に4年かかるとの見通しは従前から変わっていない。

マイナード氏は、今回のコロナ・ショックに対する米政府・FRBの政策についてかなり批判的だ。

「危機対策の効果・持続性を測るのは早すぎるが、結局は、それが不十分、間違った方向、意図せざる結果を招くことに気づくだろう。」

マイナード氏は、今後の「反動の時代」に問題点が明らかになっていくと暗示している。
同氏が問題視するのは、経済・市場の面に留まらない。
むしろ、社会や政治にまで大きな変化を生み出し、それが残り続ける点を心配している。

FRBと財務省は、信用リスクを国有化することで本質的に新たなモラル・ハザードを生み出した。
米国は、これら政策が実施される前のような自由市場資本主義には二度と戻れない。

マイナード氏は「二度と戻れない」と言い切る。
この自信の背景には、過去によく似た予言をした点がある。
FRBがQEを始めた時、マイナード氏はこう予言した。

「FRBは二度とQEを終えることはできない。
これは永遠に続く。」

FRBは米国の発行する債券を買い支えた。
これを一回やめようと試みたが、その結果が2018年第4四半期からの逆戻りだ。
今FRBは、社債、しかもハイイールド債の一部までも買い始めた。
これは、民間企業のリスクテイクの尻ぬぐいをするということ。
純粋培養の資本主義国家であったはずの米国が、日欧の後を追い、共産主義への歩みを始めたとの趣さえある。

マイナード氏は、増加を続けるコロナウィルスによる死者数が、政治的宣伝に用いられると予想する。
ワシントンの責任にされ、共和党の責任にされるという。
結果、ポピュリストが台頭し、医療・雇用・賃金など社会保障の強化への圧力が増すという。

「私の唯一の心配は、これが長期的な成長にとって生産的でないやり方で行われることだ。
こうした政策は、全体の生産性を減じるようなインセンティブを生む。
そうではなく、政策立案者は、成長を温存しながら格差を減らすような経済の根本的改革に取り組むべきだ。」

マイナード氏は、いかにもサプライ・サイダーらしい意見を述べる。
同氏は良識ある保守層だし、決して道を外れる議論をする人ではない。
それでも、社会保障の強化を非生産的としか考えられない。
このあたりは日欧の人々からは理解しがたいところがある。

さらに、こうした良識ある保守層は現在の米政治で発言力を失っている。
共和党を仕切るのはポピュリストだし、民主党もポピュリストの影響を強く受けている。
結果、米政治は政策の規律を心配する層を失いつつある。
バランサーが欠ければ、社会や政治は大きく動きかねない。
コロナ後の米国は、コロナ前の米国とはかなり異なるものになるのかもしれない。

現在行われている財政・金融政策は、根本的に政府の個人・企業とのかかわり方を再定義するものだ。
いくつかの政策は機能し、いくつかは機能しないだろうが、それらは何らかの形で永遠に継続するだろう。
今私たちすべてに必要なのは、新たな市場レジームの中どのように前に進み、企業を経営し、資本を投資するか理解することだ。


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