海外経済 投資

これは《最後のひと上げ》? どこに落とし穴がある?

以前から紹介してきた米市場の短中期サイクル《あるある》:
FRBが利上げを終了してから、株式市場がさらに上昇することが多い。


FPではこの部分を《最後のひと上げ》と呼び、それがいつになるか勘繰ってきた。
しかし、このあるあるを話すと、よくこんな感想を言われる。

《ちょっと状況をイメージしにくいなあ》

それはそうだ。
金融引き締めとは市場にとって過酷な変化だ。
利上げのピークからさらに株価が上がるなんて、ちょっと状況を思い浮かべにくい。

でも、最近の市場のセンチメントを推し量ると、少し状況を想像できるようになったのではないか。
インフレが低下傾向を示しているが、経済はまだ底堅い。
ゴルディロックスとか、ソフトランディングとかいう言葉が出るように、良すぎも悪すぎもせずになんとか隘路を抜けられるのではないか。
景気後退も弱気相場もなく抜けられるのではないか。
そんな雰囲気が強まっている。
実際、以前との比較ならソフトランディングとなる確率は高まっているかもしれない。

市場の楽観を支えるのが、FRBの利上げ終了予想だ。
パウエル議長の想定ならあと2回だが、今月1回で終わる可能性を予想する向きが多くなった。
ちなみにCME FED Watch Toolによれば、今月のFOMCの利上げはほぼ100%と予想されている。
さらなる利上げ予想は、9月で14%、11月で30%、12月で15%。
12月で下がり始めるのは、利下げ予想が増えてくるためだ。

《最後のひと上げ》はまだ残っている?

近いうちに利上げが終了するなら、次は《最後のひと上げ》がどうなるかが気になる。
今回もあるのか、それとも今回はすでに織り込み済みか。
(筆者はまだ上げると予想しているが、いつものように、それに賭けたりはしない。)
今まさに身近に接して理解できるのは、《最後のひと上げ》とは、ある意味で、利上げの恐怖から逃れた投資家が気を大きくして行う行動なのだろう。

筆者は短期予想で投資・投機はしないが、個人的勘繰りは、数か月のうちに利上げが打ち止めとなり、《最後のひと上げ》があり、その後に弱気相場があるというもの。
「歴史は韻を踏む」のをメイン・シナリオに置く習慣があるためだ。

このような何らかの現象のパターン化というのは、それが複雑系であればなおさら、人間の認知の問題にすぎないのだと思う。
誰があっていて、誰が間違っているか、ということより、どう認識すれば理解しやすいか、次を合理的に推量しやすいか、が重要だ。

(次ページ:プッシュとプルのリスク・オン:モハメド・エラリアン)


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