レイ・ダリオ氏のSNS投稿についての第3弾: 代わりとなる準備通貨が見当たらない中で、米ドルが主要準備通貨の地位を失うことがありうるかについて論じている。
最もよく尋ねられるドルについての質問は
『代わりになる良い他の通貨が存在しないのに、どうして米国が準備通貨の地位を失いうるのか』
というものだ。
ダリオ氏が自身のSNS(近著の第7章)で、頻繁に尋ねられる質問について答えている。
同氏が紹介した質問は実にもっともなものだ。
双子の赤字を抱える米国の通貨ドルには不安がある。
しかし、今のところ主要準備通貨としてドルに代わる通貨は見当たらない。
多くの人が将来の候補の筆頭に挙げる人民元にいたっては、為替市場・資本市場に多くの規制が敷かれており、最低限の要件さえ満たしていない。
だから当面ドルは安泰であるはずだ。
ダリオ氏の考えは少し異なる。
一気にNo.1の地位が変わるというのではなく、徐々に変化していくというイメージのようだ。
歴史が示すのは、通貨が望まれなくなると必ず、資本が代わりに向かう投資先(例えば金、銀、株式、不動産など)を見出すにつれ、通貨が売られ価値を減じる。
だから、通貨の価値低下が起こるために、代わりに向かう外国通貨市場がある必要はない。
言い換えると、代わりに向かう準備通貨がなくても、米国は準備通貨の地位を減じる可能性がある。
言いたいことはわかるが、少々論理のすり替えがあるのは否めない。
むしろ興味深いのは「資本が代わりに向かう投資先」のくだり。
「金、銀、株式、不動産」というのは、まさに今買うべき資産クラスを暗示するものだろうか。
投資家の興味は、相対的な変化、そして最終的にNo.1が交替するまで、どのようなペースで進むかだろう。
ダリオ氏は、このペースがかなり速くなると予想しているようだ。
1つには、過去の覇権国(オランダ、英国、米国)が台頭する過程がそうだったこと。
もう1つは、中国のファンダメンタルズがすでに大きく、為替・資本市場が過少投資の状態にあり、市場が急速に発達する可能性があるためだ。
ダリオ氏は「ショッキングなほど速い」展開を予想している。
米国が中国の通貨・資本市場を混乱させない限り、それら市場は急速に発達し、ますます米国の通貨・クレジット市場と競合するようになるだろう。
すぐにそうなるわけではないが、今後5-10年でショッキングなほど速いペースで進むことになろう。