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アスワス・ダモダラン この世界に正義はない:アスワス・ダモダラン
2020年8月17日

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、コロナ・ショックにおける株価の(結果論での)オーバーシュートについて理路整然とした解説を与えている。


投資において混同してはいけないのに混同して用いられる2つの言葉がある。
1つは価値であり、もう1つは価格だ。

ダモダラン教授がRBSA Advisorのウェブキャストで株価評価と現実の株価について語っている。
コロナ・ショック初期に株価がオーバーシュートした点を説明する内容になっている。

私は本質的価値評価を信じている。
価値がキャッシュフロー成長とリスクによって左右され、それが常に正しかったことに同意する。
しかし、何が価格を動かすかといえば、それは需要と供給だ。

もちろん需要と供給は銘柄のファンダメンタルズ(キャッシュフロー成長とリスク)によって左右されるだろう。
しかし、同時にムード、モメンタム、流動性にも影響を受けるとダモダラン教授は指摘した。
市場が完全に効率的なら価値と価格が一致するはずだが、現実の市場ではそうなっていないとした。
世の中でバリュエーション(価値を見定める)の仕事と呼ばれているもののほとんどが実際にはプライシング(価格を予想する)の仕事であるとし、投資に臨む上では価値と価格について明確に区別して考える必要があると話した。
教授は、両者の乖離を生む要因を3つ挙げている。

  • プライシングのプロセスには上限・加減がないが、バリュー・プロセスには存在する。
    理詰めの価値算定には幅はあっても限度があるが、株価にはそうした限度はない。
  • 価格は過去を気にするが、価値は将来から算出される。
    「プライシングのゲームに参加する時には、価値を評価するよりもムードやモメンタムにうまく乗ることに長けている必要がある。・・・
    (ケインズを引いて)このビューティ・コンテストでの審査員の仕事は、ステージ上の誰が最も美しいかを審査することではなく、他の審査員が誰をステージ上で最も美しいと思うかを判断することだ。」
  • 価格と価値が収束しなければならないとする理屈はない。

ファンダメンタリストとは、自身が算出した価値と株価を比べ、有利なら投資する人たちのことだ。
しかし、この比較だけで投資を決めるのが早計であることは多くの投資家が知っていることだろう。
自分の価値評価を過信すれば、手痛いしっぺ返しを食らいかねない。

これが意味するのは、あなたが正しく価値を知っていても破産しうるということ。
お隣さんが占いで銘柄を選んで数百万ドル稼ぐことだってある。
この世界に正義などないんだ。


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